スプーキーじいさんって何考えてるの!?

貧乏・暇なし・不健康。一人暮らしのじいさんのブログです。

マンガはわかりやすさが第一

こないだ日テレの『シューイチ!』内で、『THE TOKIWA』という企画をやっていました。
マチュアのマンガ家を数人集めて競わせる企画のようです。

私が見たのは第四回で、コマ割りがテーマでした。
上のリンクを辿ると作品が見られます。

私が驚いたのは、作品のレベルの低さです。
参加者はプロのマンガ家を目指していると思うのですけど、それでこれですか。
私の感想を書いてみます。

 

 

 

まず峰博士さんの作品。
(無断転載はマズいだろうから、リンク先を見ながら読んでください)
最初の「ドン」というコマとその下の2コマ。
これ見てわかります?
廊下でぶつかった場面なのでしょうけど(番組内でそう説明していた)、何故男性だけが尻餅をつくくらい飛ばされていて、女性のほうは普通に立っているのか。
そして、ストレートな廊下のこの場所で、何故ぶつかったのか。
何の説明もありません。
私は最初、この女性が男性を突き飛ばしたのだと思いました。

 

例えば教室の入り口から出てきて「ドン」ならわかります。
そして二人共コケているならわかります。
そうじゃないからわからないのです。
大ゴマの二人の表情はよく描けているけど、そこへ至る過程がわからないのだからダメなのです。

 

 

 

次、大塚志郎さんの作品。
これを見てどういうことか瞬時に理解した人がいるのでしょうか?
朝なのか夕方なのか、ビーチリゾートらしき場所に数人の若者がいます。
一人の男性がストレッチをしていて、急にジャンプして前転します。
次のコマで「ドボン」、つまり水(おそらく海水)に飛び込んだらしいですね。
そして連れが見ているコマがあって、最後は飛び込んだ男性が浮いている絵です。
最後のコマに黒い物体が描いてあって、そこに小さい矢印が書かれていることと、男性の頭にコブらしきものがあることから、飛び込んだら岩があって怪我したということだと推測できます。

 

まずダメなのは、この場面の全体を描いていないこと。
砂浜や岩場がどう配置されていて、登場人物はどこから来てどこで飛び込んだのか。
飛び込めるような深さがある場所なのか。
それがほとんど描かれていないからわかりづらいのです。
そして男性がカッコつけて飛び込んだとしたら、その飛び込む姿を大きく描かないといけません。
この作者は人物を描く自信がないのでしょう、描けないことが自分でわかっているから避けたのです。
それから、上から岩が見えているのにそこへ飛び込んだのは何故か。
上から見えないから事故ったのならわかります。
そこも説明不足。
そして岩に頭をぶつけたのなら大事故です。
それなのに最後のコマで、仲間と思われる人達の頭だけ描いてあって、そこに汗が描いてあるということは、ギャグとして描かれていることを示します。
そうは見えませんけど、作者は何をしたかったのでしょうか……?
岩なら岩らしく描かないといけないし、それを示す矢印は大きく描かないと意味がありません(ゴミかと)。
コマ割りがどうこうと語る以前のレベルです。

 

 

次、イ・ヨンソさんの作品。
これもわかりづらかった。
最初の緊張感のある表情と、最後の胴上げされて喜んでいる絵はわかりますが、それらの繋がりがわかりません。
目の中にハートが描いてあるのと、番組内での解説から、この男性の気持ちが好きな女性に受け入れられて喜んでいる場面だと推測ができます。
よーく見ると、目にズームアップしていることから、脳内で胴上げをイメージしていることがわかってきます。
でも、胴上げしている人達は誰?
しかも彼等はどこを見ているの?
それと「ドキ」が三つ描かれているのに、最後のコマは無音ですよね?
敢えてなのかなぁ。

コマ割りがテーマで、ズームアップをやろうとしたのはわかります。
ただそれが作品にうまく活かされず、読み手に伝わっていないのが残念です。
絵的に描き慣れているように見えるから、もうちょっとなのですがね。

 

 

 

次はみかどみすこさんの作品。
これだけがよく出来ていました、選ばれて当然です。
たった1ページなのに、離島にいるらしいこと、男性は島から出たいと思っていそうなこと、女性がそれを悲しく思っていることが伝わります。
絵も描き慣れている感じですしね。

 

ただ、真ん中のビンタのコマが弱いです。
女性のポーズが下手で、ビンタしているように見えづらいです。
男性の姿でビンタがわかるから救われているだけです。
女性のこのポーズで、男性の上体が揺らぐほどのビンタは無理でしょう。
どうせなら、このコマだけもっと寄ったアングルとかにして、客観的なアングルをやめたらよかったのに。
この女性の気持ちの盛り上がりのピークのコマですから。
それに「パン」の描き文字が下手で迫力がありません。
普段暴力なんて無縁の女性なのだとしても、悲しみを込めたビンタの場面を上手に描いてほしかったです。

 

 

 

次は宮田マナさんの作品。
これはわかりづらい。
アイドルのコンサートだというのはわかります。
初音ミクみたいな女性が微笑んでいるのもわかります。
その後のハチマキをした男性は何をどう思い、最後の泣いているような、叫んでいるようなコマへと続くのでしょうか。

これも番組内で、この男性が推しているアイドルと目が合って喜んでいるのだと言っていて、やっとわかりました。
でも、独りよがりですよね。
ファンが大勢いるコンサート会場で、アイドルがやっと自分を見てくれた、それが伝わりませんから。
大勢のファンを描いていないのだから、意地悪な見方をしたら、観客はこの男性一人だけという可能性だってあります。
そして最後のコマで「尊」という字で説明しているのは、逃げです。
作者本人がこれでは伝わらないと思ったから足したのでしょう。

 

 

最後は江野兎季さんの作品。
これはわかりやすいです。
一人の男性がヨロヨロと自室に帰ってきてベッドへ倒れ込む。
その手には何かの紙、敗れたハート、そして涙。
失恋して悲しんでいることは誰にもわかるでしょう。

 

絵があまり上手ではないけれど、それが却って失恋して弱っている人物の雰囲気を出しています。
最初のコマのドアの描き方は間違っているし、この男性が描かれていないのもダメです。
2コマ目の右手もおかしいし、後ろの二本の線とか描き文字も下手です。
3,4,5コマの、この男性の動きもわかりづらい。
部屋とか家具を描くのが苦手なのも凄く伝わってきます。
でもそれがいい効果を出しているから不思議なものです。
ただ、流れる涙はもっと大きく、伝わるように描いてほしいです。
(顔に寄ったアングルで描くとか)

 

 

 

さて、書きたい放題書かせていただきました。
不快に感じたなら申し訳ありません。
私は若い頃にマンガを描いたことはありますけど、今はイラストをたまに描くだけです。
マンガを読むことも、20年くらい前にやめてしまっています。
それでも、これくらいのことは読み取るのです。

 

マンガを描いた経験がないとしても、マンガが好きで沢山読んでいる人なら、今回の記事のようなことはわかるはずです。
長年沢山のマンガを読んでいるのに、このようなことがわからないとしたら、プロの作品から何も吸収していないということです。
そしてそういう人がマンガ家になろうとしても、無理なことは明白です。
吸収できないのに、それを描くことなんて出来るわけがない。
アニメもそうでしょう、プロの作品を見てどういう絵をどう動かしてどう演出しているのか、それを吸収できない人にいいアニメ作品なんて作れるわけがないのです。

 

趣味程度ならそれでも全然いいです。
今回の参加者がプロを目指している人達なら、ちょっとレベルが低すぎませんか?
だから私は驚いたのですよ。
よく言われることですけど、出版社に作品の持ち込みをすると編集者から「わかりづらい」と繰り返し直されるそうです。
絵やキャラやストーリーがどうでも、伝わらなければ意味がないのです。

昔、マンガを一緒に描いていた仲間がよく言っていました。

イラストはバカでも描けるけど、マンガはバカには描けない

その仲間はマンガ雑誌の賞に応募して佳作を取るくらいの腕前でした。
でも自分には才能がないとやめてしまいましたよ。


みなさんは頑張ってください。
美味しい餃子でも食べながら。

美味しい餃子

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。