以前、CMだったか、木村拓哉がテレビアニメ『フランダースの犬』が好きでよく見ている、ということを言っていた気がします。
本人の言葉なのか、CM上の演技なのか、ちょっとハッキリしませんが。
私は木村拓哉のことを好きでも嫌いでもないですけど、この発言を聞いたときにはガッカリしたことを覚えています。
「僕はゴミみたいな作品だと思うんですけどね」
と発言しています。
この作品は所謂世界名作劇場の一作とされていますが、『アルプスの少女ハイジ』や『赤毛のアン』とは別のスタッフにより作られていて、中身はかなりいい加減なのです。
作中の風俗一つ取っても、ベルギーとオランダをごっちゃにしている時点でまるでダメだし。
パトラッシュの犬種も全然別のものにされてしまったし。
宮崎駿や高畑勲が関わった作品の場合は、現地にロケハンしてきちんと調べたうえで作られていて、説得力があります。
そもそもよく物を知っている二人ですから、安心感がありますよね。
もし木村拓哉が有名なラストシーンだけ見て「名作だ」と言っているのなら、きちんと全部を見てみたほうがいいと思います。
余計なお世話ですがね。
実は『フランダースの犬』という物語は、舞台となったベルギーではまったく知られていませんでした。
バブルの頃から日本人が訪れるようになって、『フランダースの犬』のことを聞いてくるので、現地の役所の観光課で働いていた男性が調べて、銅像を設置するなどしてから知られていったのです。
(観光客を集めるには、目的となる物や場所が必要)
(その男性は日本人女性と結婚したが、後にその女性を殺害してしまったという記事を読んだことがあります、悲しい話なので割愛します)
『フランダースの犬』が現地で知られていなかったのは当然のことで、この物語はイギリスの女性作家・ウィーダ(本名:マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー)により書かれました。
(『フランダースの犬』のオープニングでは「ウィーダ」ではなく本名が表記されていて、しかも「マリー」が欠けた誤記になっている ← いい加減だなぁ)
ウィーダは19世紀の半ばから20世紀にかけて生きた人で、大の愛犬家でした。
ウィーダは旅行でアントワープを訪れ(ネロと同じくルーベンスを見るため)、その遅れっぷりに多いに驚いたといいます。
・子供が学校にも行かずに働かされている!
・犬まで働かされている!
・アントワープの聖母大聖堂ではルーベンスを有料で見せている!
それで彼女はすぐに『フランダースの犬』を書きました、ベルギーの酷さを世間に伝えるために。
そして作品はイギリスの雑誌に掲載され、後に作品集として出版されました。
そんな物語をベルギーの人が知るわけがありません。
よく言われているのは、なぜ世界名作劇場でこんな物語を原作にしたのだろう? という疑問です。
主人公が貧乏で最後に亡くなるお涙頂戴だから採用されたのでしょうか?
だとしたらあまりにも安易だと思いますけど、内容はどうでも人気はあるのですから成功したと言えるでしょうね。
更に書くと、『フランダースの犬』が現地で知られるようになってからも、現地での評判は芳しくなかったのです。
ヨーロッパやアメリカでは主人公の少年が世間に負けて死んでいくラストは、受け入れがたいものだったのです。
だからこの作品がリメイクされたり実写化されたりしたときに、ハッピーエンドに差し替えられたりしたのです。
いかがでしたか?
ここに書いたこと、ご存知でしたか?
ラストシーンだけ見て「名作だ」なんて言う人になっていませんでしたか?
ま、そういう人にとってはアニメなんてどうでもいいのでしょう。
本気で好きではないからそういう軽率なことが言えるのです。
ちなみにネロが見たがっていたルーベンスはこれです。


いずれもパブリックドメインです。
『フランダースの犬』の時代はお金持ちじゃないと見られなかった(厚いカーテンがかけられていた)というから驚きです。
昨日、初めて新千円札を入手しました。


「1000」の大きな文字が新鮮です。

ホログラムがかなり鮮明で、向きも変わります。

透かしもクッキリ。
「Bank of Japan」の書体がカッコいいですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。