ついこないだ、私が最初の『ガンダム』を見たときの想い出を書きました。
あそこに書いた辺りから後に、『ガンダム』は終盤の盛り上がりを見せるわけですけど。
今回はそこではなくて、『ガンダム』後から『Z(ゼータガンダム)』までについて書きます。
『ガンダム』人気が盛り上がりを見せて、富野喜幸(当時)監督も時の人となりました。
サンライズという会社も狙い通り、下請けからオリジナル作品を作れる会社になりました。
富野監督はすぐに次の作品に取り掛かりました。
劇場版の『ガンダム』と平行しての作業で、大変だったそうです。
『ガンダム』で盛り上がったファンは、一体どんな作品になるのだろう? と期待していました。
そして始まったのが、『伝説巨神イデオン(1980年~1981年)』です。
細かいことは割愛しますが、『ガンダム』とはかなり違った作品になりました。
キャラやメカのデザイン・テイストがガラッと変わり、作画監督も代わり、SF色が思いっきり濃くなっていたのです。
当時の富野監督は雑誌のインタビューで「フィルムを見てくれ」とよく言っていました。
放送された作品を見れば分かるはずだ、そういうことです。
『イデオン』は、少なくとも放送当時においては、史上最もハードなSFアニメです。
今でも、こんなハードSFをテレビアニメでよくやったなぁ! って思います。
『ガンダム』のヒットのおかげでしょうね(裏話有り〼)。
ただそのせいで、離脱するファンが続出しました。
小学生はおろか、大学生だってSFの属性がない人には理解は難しい内容だったのです。
あとメカデザインが子供たちにウケず、ガンプラは絶好調なのにイデオンのオモチャは売れませんでした。
結局『イデオン』も打ち切りになりました。
その後ファンの強い要望により映画化されて(1982年)、二本立ての一本目がテレビ版の総集編、二本目が新作の「真の完結編」でした。
どうやって締めくくるのだろう? と映画館に行きましたけど、それはまぁ見事な終わり方をしていました。
テレビ版の最終回からは想像もつかないような、感動的なラストでしたよ。
その後の数年間、富野監督はオリジナル作品をテレビで発表しつづけています。
今考えても凄く豪華な話です、原作がないのですから。
・戦闘メカ ザブングル(1982年~1983年)
地上波でタダで富野監督のオリジナル作品を見せてもらえた、我々ファンはラッキーでした。
ところが。
これらオリジナル作品は、子供たちにはイマイチウケませんでした。
オモチャの販売はガンプラには遠く及ばず、そのガンプラの売上も落ちていたのです。
富野監督、自由にやりすぎたか?
ついにスポンサーのクローバーが、『ダンバイン』の放送中に倒産してしまいました(1983年)。
(トミーがスポンサーを引き継いだ)
次作の『エルガイム』のスポンサーであるバンダイは、『エルガイム』のスポンサーになる替わりに『ガンダム』の新作を作るよう働きかけていたのです。
富野監督は『エルガイム』の放送開始当時から、次作の企画作りを始めていました。
紆余曲折があって、結果的にそれは『機動戦士Ζガンダム(1985年~1986年)』となります。
当時のアニメック(1984年8月号)には、まだ正式発表されていない『Z』に関して、それを匂わせるような記述が残っています。
富野監督のインタビュー記事の中で、編集者もそれを匂わせていますし、富野監督は、
「『なんでこれしかやらせてもらえないのか』という気分です」
と発言しています。
(「富野由悠季との対話 富野由悠季の”再構築論”」)
その後、ついに『Z』の放送決定が正式に発表されました。
我々ファンの間には衝撃が走りました。
『ヤマト』のように続編が作られたアニメはあったものの、『ガンダム』は綺麗に終わっているアニメであって、終わってからもう数年経っていたからです。
まさかその後の物語を見ることができるなんて。
どんな話になるのだろう?
アムロやシャアは登場するのか?
そして1985年3月2日(土)の17:30。
『Z』の放送が始まりました。
(私は『エルガイム』は見なくなってましたが、最終回だけは見ました、『Z』の予告編が流れるからです)
まずオープニングで『ガンダム』よりリアルに描き込まれたメカのカッコよさがあり。
本編ではシャアと思われる人物がいきなり登場して。
敵側として、黒っぽいガンダムMk2も出てきて。
安彦さんよりシャープになったキャラが続々登場し。
それと、『ガンダム』とどういう繋がりがあって、どういう状況になっているのか、という謎もあり。
伏線が散りばめられた、富野監督作品らしい複雑な物語の始まりに多いに期待させられましたよ。
上記のように『Z』は『ガンダム』よりも丁寧でリアルな作画になっていましたが、女性ファンの間ではちょっとしたクレームもありました。
彼女らが言うには、
「シャア様の目があんな細くなっちゃって、ガッカリ」
なのだそうです(笑)。
しらんがな、安彦さん(キャラデザイン)に言えって。
私は嬉しかったですね。
おなじみ『ガンダム』の世界観の中で、新しい物語が始まったのですから。
作画的には、『Z』は前作よりも細かいところまで描写されていて、ここ数年のアニメのリアル路線の先端を行く作品だと思いました。
『ガンダム』で感じていた不足が解消されたようなものです。
とにかくカッコよかったです、シビレました。
この後『Z』は、長く複雑な物語を繰り広げていきます。
その話はまたいつか。
秋が始まりました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。