スプーキーじいさんって何考えてるの!?

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全天周囲モニターというアイディア

前回は『ガンダム』が終わってから『Zガンダム』が始まるまでの経緯を書きました。
あの時代のアニメ界の空気が少しでも伝われば嬉しいです。

 

さて今回は、ちょっとしたオマケ回です。
『Z』に登場した、全天周囲モニターについて書きます。

 

 

 

まず、全天周囲モニターとは何か。
ロボットアニメにおいては、パイロットがロボットの中に入り、コクピットでロボットを操縦することになります。
兵器であるロボットは全体が装甲されていると考えるのが普通で、コクピット周りが現在の戦闘機のようなキャノピーでは脆弱すぎます。
一部にそういうロボットもありましたけど(『太陽の牙ダグラム』のコンバットアーマーは頭部が戦闘ヘリのコクピットに似ている)、普通なら装甲板の箱の中にパイロットがいるイメージです。
(『ダグラム』が最初にロボットの型番とかメーカーという情報を正式に作品内にいれた)

 

そうなると、どうやって外を見るのか?
ガンダム』の場合は、モニターでした。
正面に大きいモニターがあって、あと左右と上にも小さいモニターがあったようです。
私は放送当時これを見ていて、周囲があまり見えないのだから上手く戦えないだろ? と思ったものです。
(シンプルな操縦系に関しては、教育型コンピュータという「経験を蓄積して動きを覚える制御装置が内蔵されている」という設定があったので納得はできた)

 

全天周囲モニターは確か、『エルガイム』の中で初めて登場したと記憶しています。
あの作品では、パイロットは小型の飛行機に乗ったままロボット(ヘビーメタル)に入ります。
主人公が番組後半から搭乗するロボット(エルガイムMk2)は、飛行機(スパイラルフロー、だっけ?)が格納される部屋が球形になっており、その壁面に周囲の様子が映し出されたのです。
これなら死角がなくてよく見えそうです。

 

 

 

そして『Z』。
この作品では、MSの中にいるパイロットから周囲は丸見えになっていました。
第一話の冒頭から、それを強調する演出になってましたね。
パイロットが座るシートは後方からアームで支えられて、球形の部屋の中にあります。
(シートが制御された動きをすることでパイロットの負担を軽くすることができる)
この球形の部屋の内側が全部モニターになっていて、それを「全天周囲モニター」と呼びます。

 

これは『Z』の第一話から。
クワトロ大尉が搭乗するリック・ディアスコクピットです。
この画像はモニターがオフになった状態です。

 

MSの機体に装備された複数のカメラから得た映像をコンピュータで処理して、パイロットが違和感なく見られるように映し出す仕組みなのだそうです。

 

『Z』の第二話から。
このように、後方までしっかり映っています。

 

MSのパイロットにとっては周囲を見られるのはいいことですけど、それ以外にも色々と見せてほしい情報があります。
そういった情報は、パイロットの前に設置された小さいモニターと、全天周囲モニターにも映し出されます。

 

これはパイロット目線の絵です。
画像の中央にあるのが小さいモニター、空が映っている全天周囲モニターにも情報が投影されています。
(これは第二話から、ちょっと説明的な演出でもあります)
これなら戦うのに支障はなさそうです。

 

 

 

この全天周囲モニターというのは、富野監督の指示で設定されたものだそうです。
昔読んだ本によると、設定的な必要性もあったものの、宇宙で戦うパイロットをMSと一体化し、むき出しで宇宙に出て戦っているような効果が欲しかったらしいです。
『Z』の初期には、それを伺わせるシーンもありました。

 

これは第七話、ガルバルディβというMSに搭乗するライラ・ミラ・ライラ大尉。
画像の左側に、全天周囲モニターに映し出されたガルバルディβの右腕が映っています。
まるで、ライラ大尉が右手を振り上げているようにも見えますね。

 

私はこの設定、大好きでした。
それまでの疑問を綺麗に解決し、尚且つ宇宙空間で戦っている感じが強まりましたから。
自分も搭乗してみたい、そんなことまで思ったものです。

 

ところが。
この全天周囲モニターという設定は、一部の視聴者には受け入れられませんでした。
パイロットがMSの中にいるのか、宇宙空間に出ているのか、それが分からないというクレームが結構あったらしいです。
(いや、そのための設定だってば)
それで次作の『ZZ』では、全天周囲モニターの色を明るくして、直に見た宇宙空間と区別できるようにしたのです。

 

 

 

よく考えられた設定だと思います。
ただビジュアル的に、パイロットの視点から離れた視点で描かれた絵で、全天周囲モニターに映し出された映像が歪んでいないものについては、細かいけどおかしいと思ってました。
パイロットから見て正常に見える映像なら、そこから離れて見たときには歪んでいるはずですから。
(テレビだって横方向から見たら映像は歪んで見える)

 

あとね。
全方位を見られるモニターという意味では、現実の世界では既にVRゴーグルとかHMDってものが実用化されてますよね。
私も『Z』の頃から考えてました、大きなモニターがなくてもゴーグルを使えばいいじゃんって。
ジャイロを仕込んだゴーグルで、顔を向けた方向の映像を映してあげれば全方位を見ることが可能になります。
それに近いのが、『装甲騎兵ボトムズ』に登場するアーマードトルーパー(AT)のパイロットのゴーグルです。
まぁ絵的には寂しくなってしまいますがね……
そして最終的には、『攻殻機動隊』のように脳に直接情報を送り込むようになるのでしょう。

 

近年はこういうディテールの描写がどんどん精密になってきています。

これはアニメ映画『閃光のハサウェイ』から。
従来の手書きの絵とはまったく違うものになっています。
こういうのを作る人たちも大変だ。

 

 

 

さて、今回もゴチャゴチャと書きました。
興味のない人にはチンプンカンプンでしょうけど、SFが好きな人ってこういう理屈をコネコネするのが大好きなのです。
ご理解ください。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。