以前、もうかなり前のことですけど。
私が休日の街歩きで東京駅付近を歩いていたときの話です。
東京駅付近といっても、どこでも混んでいるわけではありません。
特に休日なんて、駅のエントランスからちょっと離れたら静かなものなのです。
丸の内とか大手町とか皇居とかの、休日の静かな雰囲気が私は好きで、よく行ってました。
(最近の丸の内仲通りは、旅行客が東京駅で帰りの列車に乗るまでの時間のぶらぶらスポットになっているようですね)
私が歩いていると、前方の歩道に二人の若い男女が立っているのが見えました。
近づいていくと、どうやら友人の披露宴に招待されて東京駅まで来たような感じの二人です。
二人はおそらく夫婦なのでしょう。
でも何でこんな人の少ないお店もないような場所に立っているのか?
そばまで行ってみて、答えが分かりました。
その男性の背中に、大きなカナブンのような虫がとまっていて、女性がそれを取ることができないらしいのです。
その男性も虫が苦手らしくて、早く取ってくれって感じで会話していました。
分かるぞ、その気持ち、虫は嫌だよね!
うん、カナブンなら。
私は虫が嫌いですけど、カナブンやカブトムシは大丈夫です。
それで女性のほうに、
「これ、取ればいい?」
って聞いたら、ちょっと驚いてから頷いたから、指で取ってぽいって捨ててあげました。
カナブンはそのまま何処へと飛んでいきました。
男性のほうは後ろ向きなので事情がよく分かっていないようでしたが、女性はすぐに頭を下げて「ありがとうございました!」って言ってくれました。
いやいや、困ったときはお互い様です。
笑顔で片手をあげて、私はすぐに立ち去りました。
恩着せがましいのは嫌いです。
私はね、よく思うのです。
人と人との繋がりが弱くなってしまった今の日本で、こういう人助けを躊躇なくできる人になりたいって。
なんでもかんでも他人は関係ない、関わるなっていうのは、ちょっと違うんじゃないか。
もちろん、子供を助けたら人さらいや変質者だと疑われる可能性はあります。
だからって、壁を作って思考停止になるのはダメですよ。
あのお二人は東京の人間ではなかったのかもしれません。
もしそうなら、このことで東京に少しはいい印象を持ってもらえたら嬉しいです。
人助けできて、ほっこりした気分で街歩きを継続できましたよ。
部屋の整理をしていたら、前に書きかけた女性の顔の絵が出てきました。

見づらくてすみません。
顔をワイドに描きすぎてるなぁ。
向かって左側の顔が、左に寄ってしまってるのですね。
こういうときにデジタルなら、簡単に修正できるのでしょうけどね。
こんなの発掘すると、また描きたくなるなぁ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。