ドラマとか映画とかアニメなどを見ていて、演出についてあまり見ていないというか気付いていない人って結構いますよね。
もちろん、演出する側はわざとらしくならないよう、自然に見えるように演出しているので、気付かないのが悪いわけではありません。
ただ、気付くと作品を見るのが面白くなるよ、とは思います。
例えば今やってる朝ドラの『おむすび』。
第一週の金曜日のエピソードが私はとてもいいと思って、つい涙腺崩壊してしまったのですが。
全体的にゆったりしたドラマで、まだ大きな出来事はないですけどね。
この金曜日の回の中で。
橋本環奈演じる主人公の結(ギャルが嫌い)と、彼女をハギャレン(博多ギャル連合)に入れたいギャル四人が2mほどの距離で向き合うシーンがありまして。
彼女らの後ろを大きな川がゆったりと流れています、ハギャレンから結に向かって。
これは当然、ハギャレンから結への想いを表しているわけです。
なんとなくここでロケしよう、ではないのです
昔の朝ドラで、タイトルは忘れてしまいましたが。
ドラマの序盤で進路に悩んだ主人公は、卒業した母校を訪れます。
そこで仲良しだった若い元担任と再会して、自分の悩みを聞いてもらうシーンがありました。
二人はグラウンドの脇にある簡易なベンチに並んで座り、主人公は悩みを聞いてもらいます。
そして二人はグラウンドに降りて、次に校舎へと向かう緩い階段を登ります。
元担任は階段の途中で止まり、数段下にいる主人公にアドバイスを送ります。
これは、元担任が教え子と同じ目線で悩みを聞き、そして人生の少しだけ先輩である自分から後輩へのエールを送っているという演出ですね。
炎もよく使われます、感情の高ぶりを表す演出ですね。
テレビアニメ『アルプスの少女ハイジ』でも、ハイジを学校に行かせる・行かせない問題で対立したおんじと牧師がおんじの家の中で対峙するシーンで、暖炉の炎が二人の間で燃え盛っている演出をしています。
この『ハイジ』ではカメラアングルにも工夫があって、ハイジとおんじが会話するシーンではハイジの背景には床が、おんじの背景には天井が描かれています。
二人の身長差からお互いの目にはこう見えているということを計算しているのです。
あと演出に使う道具の出し方もあります。
映画『ブレードランナー』の中で脇役のガフが折り紙を折るシーンがありますが、この折り紙はガフが主人公のデッカードをどう思っているかを表しています。
デッカードがブライアンからの任務を断るシーンでは、「こいつは小心者だ」という意味のチキンの折り紙が登場します。
ただこの折り紙はスクリーン中央にでっかく出ていたので、比喩としてはかなり明示的です。
観客の全員が気付きます、隠れキャラでもなんでもないのです。
同じ映画の中で街灯が猫の目に見えるカットがあって、これは注意して見ていなければただの背景の一部にしかなりません。
観客に分からないようにこっそり入れた比喩なのです。
昔、東芝日曜劇場でやった『Love Story』。
豊川悦司演じる主人公の小説家は、昔恋人を病気で亡くしています。
彼女の死後、彼女がつけていた日記を読んでしまった彼は酷く落ち込み、小説を書けなくなってしまうのです。
そしてその恋人の妹が献身的に世話をします、妹は前からトヨエツが好きだったのです。
トヨエツは元カノの日記を燃やしてしまうことに決めて、妹が立ち会う中で火を付けます。
そのとき、トヨエツが流した涙を見た妹は、日記の火を消そうとして火傷をします。
これは当然、妹が自身のいびつな恋心によって火傷をしたという演出です。
その後ベンチに座って自分の心情を告白するトヨエツを見て、妹はその横へ行き不自然な形でトヨエツを抱きしめます。
真正面から抱けるような恋ではないということですね。
姉が病死したのをいいことに、自分が後釜になろうだなんてね。
例に出した作品に古いものが多くてすみません。
恋愛物でよくあるのは、両想いの二人の間に光を入れる演出ですね。
この演出はもう、数え切れないくらい使われています。
光が日光だったり月光だったり、あとは水面のキラキラだったりとバリエーションはあります。
あるいは片方にだけ光が当たっていて、もう片方が影の中にいるとかも。
人物の立っている位置にも意味があります。
どこに立ってどちらを向いているのか、向かい合っているのか、片方がそっぽを向いているのか、それとも二人並んで同じ方向を見ているのか。
二人はくっつくくらいの距離なのか、何メートル離れているのか。
それと、カメラが引いているのか寄っているのかにもきちんと意味があります。
以前マンガのことを書きましたが。
※この ↑ 記事で批評している作品はこちらで見られます ↓
映画でもドラマでもアニメでもマンガでも、演出法を知らない人が演出を意識しないで作品を作ると悲惨なことになります。
上記リンク先の作品が悪い例です。
テレビだと、ドラマはきちんと演出されているものがほとんどですが、アニメはちょっとダメなのが多いですね。
実は私、Google Map のStreet Viewに映ってしまいました。
この夏に「あ、Googleの車がいる!」ということはあったのですけど、まさか撮影されていたとは。

恥ずかしいからモザイクをかけましたが、元々頭部にはボカシが入ってました。
何だか不思議な気分です、魂を吸い取られたような(笑)。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。