スプーキーじいさんって何考えてるの!?

貧乏・暇なし・不健康。一人暮らしのじいさんのブログです。このブログに広告とか金儲けは入っていません。スターは一個だけ付ける主義です。

うさこちゃんのお話

さて、前回はネガティブな記事でしたので、今回は私の好きなアーティストのことを書きます。

 

 


ミッフィー」と呼ばれる白いウサギのキャラクター、知らない人はまずいないと思います。
作者はディック・ブルーナDick Bruna、本名はヘンドリック・マフダレヌス・ブルーナ(Hendrik Magdalenus Bruna))、1927年にオランダで生まれています。
父親が出版社を経営していた影響で、ブルーナは子供の頃から本が好きで、絵を見たり描いたりすることも大好きでした。
彼は音楽も楽しんでいましたが、第二次大戦が終わる頃に画家になることを決意し、高校を退学しようとします。
しかし彼を後継者にしたかった父親は反対、話し合いの末に後継者を目指しながらであればと絵の勉強を認められます。
そして彼は出版社や書店を巡って勉強しながら、絵の方でも勉強を進めていきます。

 

ブルーナはほぼ独学で絵を学び、やがて二十歳の頃に後継者になることを拒否。
父親を説得し、アーティストとして生きていくことになりました。
ブルーナは「デ・ステイルDe Stijl、英語ならThe Style(様式))」という、オランダの美術ムーブメント(モンドリアンが中心メンバーの一人)の影響を受けます。
これが後に彼のシンプルなデザインと、いわゆる「ブルーナカラー」を使ったスタイルに繋がっていきます。
モンドリアンブルーナのテイストって似てますよね

 

ブルーナは26歳のときに結婚し、その頃に父の出版社の専属デザイナーになりました。
彼は当時のオランダのシンプルな装丁とはまったく違う、カラフルな装丁の本を次々と作り出し、注目されるようになります。
またこの頃に、会社のキャラクターのクマをブラッシュアップした、(私の大好きなブラックベアZwarte Beertjes)を生み出しました。

 

うちにあるほんの僅かなブラックベア・グッス。
文庫本カバー(左)、マウスパッド(右)、真ん中のはスマホを立てるグッズ。
目が赤いのは、読書しすぎて寝不足なため、だそうです(笑)

※ナインチェの商品というのはよく見ますけど、ブラックベアの商品って滅多に見ないんですよ、ポスターが欲しいんだよなぁ……

 

ブルーナは精力的に働き、装丁やポスターの仕事の他に、絵本も作るようになっていきます。

 

 

 

そして1955年、インチェプラウが誕生します。
それまでの写実的な絵の絵本と違った、シンプルで綺麗な色使いのナインチェは子供達にウケて、世界中に広まっていきました。
初期のナインチェの可愛らしさといったらそれはもう……

 

オランダ語でうさぎは
コナイン(konijn)」
子うさぎは
コナインチェ(konijntje)」
それを短縮したのが
インチェ(Nijntje)」
で、
プラウ(Pluis)」
はふわふわのという意味です。

 

日本では最初、福音館書店が出版権を獲得、石井桃子が翻訳します。
タイトルをどうするか、福音館書店の内部で検討され、オランダ大使館員にも相談し、決まったのが
うさこちゃん
でした。
いいネーミングだと思います、小さい子にも分かりやすいしね。

 

インチェの英語版が出版されるときに、ブルーナ
Little bunny
というタイトルを考えていましたが、出版社側に「固有名詞でないと売れない」と拒否されてしまいます。
逆にブルーナは固有名詞を避けていたふしがある
出版社側が出してきた候補が
Miffy
で、ブルーナはそれを受け入れます。
我々がよく知る「ミッフィー」という名前は、こうして生まれたのです。

 

その後、ブルーナの事務所がいい加減だったのか、日本での出版権が講談社にも与えられてしまいます。
講談社では「うさこちゃん」という名前は使えないので、英語版の「ミッフィー」を使うことにしました。
部数では福音館書店が圧倒的ですけど、講談社はグッズやアニメで手広く商売し、広告に採用した企業のCMで繰り返し使われた「ミッフィー」という名前が日本中に広まっていきました。

 

ちなみに中国語では
米飛
と表記しますが、これは音的に「ミッフィー」なのだそうです。

 

 

 

 

ここまで書いて避けるわけにはいかないのは、サンリオの「キャシー」問題ですね。
この、明らかにナインチェのパクリであるキャラクターは、当然ながら訴えられます。
驚くべきことに、サンリオ側は戦う姿勢を見せました。
そうした中、東日本大震災が起こってしまいます。
ブルーナは、大震災の被害に遭っている子供達のことを思い心を痛め、涙を流すモノクロのナインチェのイラスト付きメッセージを発表。

 

 

また、サンリオとの裁判で使われる費用は、被災地の復旧復興に使われるべきとの結論に達し、ブルーナ側とサンリオは和解します。
以後キャシーの商品は出ていない

 

 

 

オランダの街並みを再現したテーマパークのハウステンボスには、ブルーナのショップ「ナインチェ」があります。
なんと来年には、「ミッフィーエリア」がオープンするそうですよ!

行きたいなぁ……

 

ブルーナのグッズが買えるオンラインショップがこちら。

 

ミッフィーの情報とグッズはこちらでも、「日本のミッフィー情報サイト」。

 

 

 

ブルーナは屋根裏部屋みたいなアトリエで仕事をしていて、クラシックなデザインの自転車に乗って通勤していました。
テレビや雑誌などでよく紹介されてましたね。
そしてブルーナは83歳の頃に引退しています。
その6年後、ブルーナは、2017年2月16日に亡くなりました、89歳でした。
彼のアトリエがあったユトレヒト市には、息子さんが建てたナインチェの象があるそうです。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。