私は子供の頃に、静岡県浜松市に住んでいたことがあります。
浜松といえば、春華堂のうなぎパイ、スズキ自動車、日本楽器(ヤマハ、昔はニチガクと言った)、三ケ日みかん、浜名湖、町ごとに巨大な凧をあげて糸を切り合う浜松まつりの凧揚げ合戦!
観光名所の中田島砂丘は、天竜川上流のダムの影響で随分と狭くなってしまいましたが、結構栄えた地方都市です。
浜松の駄菓子屋には特徴がありまして、鉄板が設置してあるのです。
(夏場を除いて)その鉄板の周囲には子供たちが座り、おばちゃんが焼いてくれた遠州焼きを食べるのです。
そこが子供たちの社交場になっていました。
(東京だともんじゃ焼きかな? 地方地方で色々な駄菓子屋があるのでしょう)
私もよく食べました、わざわざ小学校とは逆方向に一人で散策に行って見つけたお店でね。
他校の知らない子たちに混じって、仲良くなったりしてました。
(私は子供の頃から一人でぶらぶらしてました、学校の外でクラスメイトと会うのが面倒で)
遠州焼きというのはお好み焼きの一種です。
お好み焼きというと関西風と広島風しか知らない人もいるようですけど、日本には全国各地にそれぞれ独自のお好み焼きがあります。
関東人なら関東風お好み焼きがあるのを忘れてもらっては困ります、関西風のようにマヨネーズは使いません。
(個人的には関西風のマヨネーズはちょっとね……過剰です)
ただ遠州焼きは、飲食店で出てくるようなちゃんとした料理ではありません。
子供のお小遣いで食べられるような、安価で簡易なものです。
浜松だと飲食店によっては、豚肉とかが入ってるちゃんとした遠州焼きを出すところもありますけど、元々はもんじゃ焼きと同じような種類の食べ物なのです。
今回はその遠州焼きを作ってみます。
遠州焼き
それでは一人分の材料です。
一人分といってもこれでお腹一杯にはなりませんけど。
(これはおかずにもなりませんね)
・薄力粉 大さじですり切り5杯
これはお好み焼き粉でも小麦粉なら何でもいいです。
駄菓子屋で簡単に作るものなので、凝らないほうがらしいかも。
・水 80cc
※ちなみにネットでレシピを調べると、生地に玉子を入れるように書いてあるものばかりです。
私は今回それで試作してみたのですが、昔食べた味と違うので玉子は入れませんでした。
何だかちゃんとしたお好み焼きみたいになってしまってね。
もちろん入れても大丈夫です。
・万能ねぎ 3つまみ
・たくあん 2つまみ
・紅しょうが 1つまみ
※この三つの具の量も適当でいいです。
駄菓子屋のおばちゃんになったつもりで、ポイポイっと。
・サラダ油 大さじ1(焼く用)
・ウスターソース 適量
好みでしょう油でも、他の種類のソースでもOK。
・かつお節 お好みで
・青のり お好みで
では作りましょう。
1.薄力粉と水をボールに入れてよく混ぜる
ダマにならないようによく混ぜますが、完璧じゃなくてもいいです。
なんせ駄菓子屋ですから!
百円ショップの小さい泡だて器があると便利。

2.万能ねぎとたくあんと紅しょうがはみじん切りにして、1.のボールに入れて混ぜる
遠州焼きは上記のとおり、子供向けのおやつです。
肉なんて入れない代わりにこういった具で見た目や食感を楽しくしているのです。

3.大きめのフライパンにサラダ油をひいて中火にかけて熱する
4.ボールの中身をフライパンに入れて、フライパンを傾けて丸く広げる
生地が薄く広がるので、そのまま触らずに。
急(せ)いてはコトを仕損じると申しましてね。
この薄さが遠州焼きなのです。



5.三分間ほど放置して、様子を見てひっくり返す
この時間は目安です、もっと長くなることもあります。
写真のように生地が外側から半透明になっていきますので、それが中心部まで来たらひとまず固まった合図です。
(それまでは触らないこと!)
フライパンを動かしてやると、生地がスルスル動きます。
このあとジリジリ言うようになったら、フライ返しで焼け具合を確認し、ひっくり返します。
まだ柔らかいのでフライパンを振って返してやって、端が折れたらフライ返しで直しましょう。
もちろん長めのフライ返しで返してもOK。

端がちょっと焦げるか焦げないか程度でいいです。
6.ソースなどを上に塗り、かつお節をかけて、三分間程焼く
もうこの段階だと生地は固まっているので、フライ返しでめくって焼け具合を確認してください。

かつお節はもっと広げればよかった。
7.いい色になったら火を消して、三つに畳む
ここまで来れば簡単です。
手紙を縦型封筒に入れるときのように折りたたみます。

8.ひっくり返してお皿に盛り、ソースなどを上に塗り、お好みでかつお節や青のりをかける
味付けもお好みで、子供になった気分で。

9.とんかつのように切って出来上がり
フライ返しの先端で切ってあげます。
この工程を忘れてはいけません、遠州焼きはこういう風に切るものです!
こうして切ったものをお箸で食べるのですよ。

お疲れ様でした!

試作時と違って玉子を抜いたおかげで、子供の頃の味になりました。
薄くて柔らかい生地を三つ折りにして厚みを出しているのです。
この頼りない食感こそが遠州焼きですよ!
味は自分で調節できるしね。
ああ、懐かしくて涙がチョチョ切れます。
というわけで、遠州焼きを作ってみました。
小麦粉と漬物やネギがあれば、お肉なんてなくてもすぐ作れるオヤツです。
みなさんも是非一度。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。