第三回です。
3.MTBはやめときなさい
MTB(マウンテンバイク)というのは、野山を走るために作られた自転車です。
1970年代後半にアメリカ・カリフォルニア州で、ビーチクルーザーという大型の自転車でそういう遊びや競技をしていた人たちのニーズから、前述のゲイリー・フィッシャーなどが作り出したものです。
それが今は色々な競技に発展し細分化しています。
バブルの頃に日本にも入り始めて、従来の自転車とは違うゴツいデザインに魅了された人も多いと思います。
自転車なのに本格的なサスペンションを装備したモデルも登場しました。
フロントフォークをサスペンションにしてしまうというアイディアには驚かされたものです。

オートバイみたいですね。
これは、競技によっては路面の凸凹でバーが振動して、乗員の頭まで振動してしまい前が見えなくなったり、前輪が路面から浮いている時間が長くなったりするので、それを防ぐためのものです。
後輪用のサスはフレームからして違っていて、通常の自転車よりも複雑な作りになっています。

※初期のリアサスは、ペダルを踏むと後輪が上に逃げてしまうのでロスが大きかった
こういったゴツいメカと太くて無骨なタイヤは、多くのサイクリストを魅了しました。
それで街で見かけることが急増しましたけど、正直いかがなものか? と思っていた人も多いと思います。
だってこういうのって、オフロード用に作られたものですから。
今の日本だと、道路のほとんどは舗装されています。
アスファルトやコンクリートで作られた平らで硬い路面を走るのに、こういうメカや太いタイヤは不向きです。
それはまるで、東名をブルドーザーで走るようなもの。
道具は目的に合ったものを選ばないとね。
安いMTB(ルック車(後述))とロードバイクに乗っていた私からすると、舗装路を走るのにMTBはまったく向きません。
もしタイヤとホイールをオンロード用に交換したとしても、MTBって重いのです。
ロードバイクとは逆方向に進化した自転車ですからね。
私がMTBからロードバイクに乗り換えたとき、その走りの快適さに驚かされたものです。
それはまるで、路上でアイススケートをしているようでした。
一度スピードに乗るといつまでも停まらないような走りは素晴らしいです。
※サイクルロードレースの選手はオフシーズンに、わざとMTBで舗装路を走ってトレーニングしていたりします。
負荷がかかるからトレーニングになるってことですね。
「サスが付いてると振動が吸収されるから楽だ」
そう考えている方もいると思います。
ロードバイクにサスはないし、細くて硬いタイヤでは振動をモロに受けてしまうじゃないかと。
でもそんなの大したことではありません。
ロードバイクで走るときには、手にグローブをします。
グローブには滑り止めとクッションの役割があるのです。
それから普段着とかスーツでも、下に履くパッド入りインナーというものがあります。
男性用と女性用、夏用と冬用があって、股からお尻にかけてパッドが入っていて振動を和らげてくれます。
そしてそれは外から見てもまったく分からないのです。
ロードバイクで走るのに慣れると、これらの装備で振動は気にならなくなります。
軽くて剛性のあるロードバイクのほうが、走っているときのコントロールが楽ということもあります。
(レーシングカーのサスが硬いのと似ている)
路面の粗さ、ペイントされた部分の滑らかさが分かるようになったりもします。
全然不快じゃないですよ。
もしそれでも振動が気になるのなら、クッション性のあるサドルを使いましょう。
でも、ロードバイクは高価だし敷居が高いですよね。
(最低でも完成車(ペダル以外が揃った状態)で十万円はする)
もっと安いモデルでも、良いものはありますよ。
ロードバイクとMTBを東西の横綱とすると、その下位にクロスバイクというものがあります。
その下がシティサイクルとかママチャリになりますね。
クロスバイクはロード寄りとMTB寄りのモデルがあるので、ロード寄りのモデルなら通勤通学に向いていると言えます。
(五万円程度でいいモデルが買える)
簡単な見分け方は、タイヤの太さと表面の滑らかさです。
細くてツルンとしたタイヤなら、オンロード用です。
ちなみに「ルック車」とは。
MTBにそっくりなデザインながら、二万円前後で買えるモデルのことを指します。
サスがちゃんと付いていてゴツいルックスですけど、よく見ると「この自転車でダートは走れません」的な注意書きが貼ってあるのです。
つまり、ルックスだけMTBに似せた自転車ってこと。
低予算で作られたモデルなので、MTBのような強度がなくてダートを走れないのです。
大体、上記のフロントのサスだけでも一万円から二万円するのですから……
ルック車で街中を走ったところで、MTB用の太くて低圧なタイヤでは疲れるだけです。
自転車通学や自転車通勤をしていると、ズボンの股の部分の生地がこすれて薄くなってしまいます。
私もロードバイクで自転車通勤を始めた当時、生地が薄くなって下着が見えるようになってしまい、かなり焦りました。
つまり自転車で走るときって、腰でもバランスを取りながら走ってるってことです。
生地を薄くしたくないのなら、サドルにレジ袋をかける方法があります。
こうすることで生地とサドルがこすれなくなるのですけど、踏ん張りが効かなくなるのでオススメはしません。
自転車で走るとき用のズボンに履き替えるのが一番ですが、今はいいサドルカバーがあるのかな?
それからチェーンにカバーが付いていないスポーツ車の場合、ズボンの裾が巻き込まれて破れることがあります。
なのでズボンの裾を止めておくバンドを使いましょう、それでなくても汚れるので。
あと走行中にチェーンが暴れてチェーンステーを傷つけてしまうので、チェーンステープロテクターは一回も走っていない内に付けておきましょう。

私の愛車は最初これを付けていなかったので、チェーンステーがボロボロになってしまいましたよ。
後に全塗装したからいいようなものの、それまでは悲しかったです。
今回も長くなりましたので、この辺で。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。