突然ですが腕時計です。
腕時計が好きな私が、ちょっとした豆知識を披露しますね。
1.腕時計は懐中時計から
持ち運べる時計というと、腕時計の前は懐中時計でした。
懐中時計は普段はポケットに入れておいて、時刻を知りたいときには取り出して見るわけです。
それを腕に着けられればもっと簡単になるわけで。
ただクオーツのまだ無い時代に、機械式の時計を小さくするのは大変だったのです。
一部の王侯貴族なんかではなく、一般人に対して腕時計が発売されたのは二十世紀に入ってからのことです。

機械式のムーブメントを小さくするときに、最初は懐中時計と同じメカニズムを縮小したわけですけど。
バンドを12時と6時の位置に取り付けるので、竜頭(りゅうず、つまみのこと)が12時の位置にあったらダメじゃないですか。
それで90度回して、竜頭を3時の位置にしたわけです。
もちろん文字盤は動かさずにですよ。
懐中時計は構造上、スモールセコンドが6時の位置にあるのが一般的でした。
我々がイメージする時計って、長針と短針と秒針が全部中央から出て回ってるでしょ。
懐中時計の時代は上の画像のとおり、秒針は別の位置の小さい円の中で短い針が回っていたのです。
で、竜頭の位置変更の影響から、スモールセコンドは9時の位置に移動。
これが初期の腕時計の基本形だったのです。
2.クロノグラフとは?
腕時計の広告なんかで「クロノグラフ」という言葉がありますが。
これはストップウォッチのことです。
時刻を知る機能に時間を測る機能を追加したわけです。
クオーツならともかく、機械式腕時計でストップウォッチの機能を付けるなんて大変だったのです。
上に書いたとおり、秒針は9時の位置のスモールセコンドで、クロノグラフの場合は我々が秒針だと思う針はクロノグラフ針といいます。
ボタン操作によって動き出したり、戻ったりします。
なので詳しくない人が見ると「あれ、秒針が止まってるよ」って思ってしまうわけです。
(下の画像で9時の位置にあるのが秒針、3時の位置にあるのはクロノグラフの積算分数を示す)
こういう時計の場合、タキメーターという目盛りが付いていることが多いです。
画像で見てみましょう。

丸い風防(ふうぼう、窓のこと)の外側の枠のことを「ベゼル」と言いますが、そこに不揃いな数字と目盛りが書いてありますね。
これがタキメーターの目盛りです。
ボタン操作でクロノグラフをスタートさせて、一定の間隔でそれを止めます。
例えば高速道路を走っているとして、1kmごとに小さい標識がありますが、あれを見て1kmの間の秒数を測ったとしましょう。
クロノグラフ針が止まったところのタキメーターの目盛りを見ると、その1kmを走ったときの平均速度が分かるのです。
30秒だとしたらクロノグラフ針は6時の位置で、目盛りには「120」と書いてあります。
つまり平均120km/hで走っていた、ということになるわけです。
例えば箱を大量に作る仕事をしていたとして、一個の箱を作る秒数を測って、それが60秒なら12時の位置には「60」と書いてあるので、一時間で60個のペースだってことが分かるのです。
もう一つ、あまり多くは見ないですけど、テレメーターというのもあります。
これも画像で見てみましょう。

この腕時計の文字盤の外周にあるのがタキメーターの目盛りです。
その内側に赤い文字で書かれているのがテレメーターの目盛りです。
これは簡単な仕組みです。
例えばカミナリが光ったとき、クロノグラフをスタートさせます。
ゴロゴロと音が聞こえたら、クロノグラフを止めます。
クロノグラフ針が指している部分の赤い数字を見ると、カミナリが何km先に落ちたのかが分かるわけです。
これは昔、戦場で砲弾がどのくらい近くに落ちたのかを測るための機能だったそうです。
3.日本人女性はなぜ腕時計を手首の内側にするの?
これには諸説ありますが、有力なのは二つ。
一つは、昔はみんな和服を着ていましたよね。
和服を着た女性が肘を持ち上げると、脇にすき間があって胸が見えてしまうのです。
だから女性はみんな肘を挙げないようにしていました。
腕時計を手首の外側に着けると、時刻を見るときに自然と肘を挙げますよね。
それが嫌で手首の内側に着けたのです。
もう一つ。
懐中時計なんて偉い殿方が持つものであって、その発展型の腕時計も同様でした。
女性が着けるなんて生意気だ、という空気があったのです。
それで「目立たないように」手首の内側に着けたという説もあります。
男尊女卑ですよねー。
この二説、私は両方あったのではないかと思います。
今では手首の外側にする女性のほうが多い印象ですけど、手首の内側の腕時計を見る仕草っていいですよね。
というわけで、今回はここまで。
風が強いですけど、事故などに遭わないようにご注意を。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。