「シャルダン」というと、トイレの消臭・芳香剤ですよね。
(宣伝ではありません)
この名称、実は人名から取られています。
ロココ期の画家の、
ジャン・シメオン・シャルダン
(Jean-Baptiste Simeon Chardin)
が元となったのです。

(農家のおばちゃんではない)
シャルダンは1699年、パリに生まれています。
庶民の家に生まれて、彼の描く絵は中々認められず苦労します。
貧乏時代に最初の奥様を亡くしています。
シャルダンは静物画と風俗画(庶民の暮らしを描いた絵画のこと)を得意とし、ロココ期の画家でありながらいかにもなロココ期の絵画とは違うタイプでした。
ロココというとこんな感じが一般的ではないかな。

貴族のお嬢様がぶらんこで遊んでいます。
後ろにはぶらんこをロープで操る召使いの姿があり、左下にはこっそりお嬢様のスカートの中を覗いているどっかの若造の姿が。
どうやらお嬢様もそれに気付いていて、わざとぶらんこに乗っている様子です。
「爺、もっと強く引いてちょうだい!」
サンダル飛ばしちゃって、アホですねー!
ロココ期ってこういう、お花畑で妖精や王侯貴族が遊んでいるようなフワフワした絵画が流行っていました。
(こういうのに対する反発から西欧のアートは新古典主義へと移っていく)
シャルダンはこういう絵画とは違って、彼が生まれる前のオランダ黄金時代(16世紀から17世紀)の影響を強く受けていて、フェルメールにも似た作風になっています。
実際、今のヨーロッパではシャルダンはフェルメールと同等の人気があるそうです。
例えば……

画面全体が薄暗く、そこに色々な物が緻密に描かれています。
上のぶらんこと比べると、本当に同じフランスで同じ時代の画家なの? と思ってしまいますね。
流行りには乗らないような人柄だったのかもしれません。

静かで落ち着いていて暖かい、いい絵だと思います。
オランダ絵画よりも小綺麗な感じで、しかも宗教や神話の匂いがしません。
この絵がルイ15世に認められて、シャルダンにもやっと追い風が吹き始めます。

(1768年)
この長いタイトルの絵が私は一番好きです。
部屋に飾るならこれ! って感じですね。
シャルダンは真面目で優しい人だったのではないかと思います。
シャルダンは50代の頃から出世して、国王の年金を受けたり重要な役職に就いたりして、ルーヴル宮殿(今のルーヴル美術館の建物)内に住居とアトリエを持たせてもらってます。
静物画や風俗画って他の絵画(聖書や神話の世界を描くか、王侯貴族の肖像を描いたもの)よりも下に見られていたので、かなり異例のことと言えます。
王侯貴族からの絵の注文も殺到して、やっと花が咲いたわけです。
もっともシャルダンはかなりの遅筆で、収入はどちらかというと二番目の奥様が所収していた土地によるものがメインだったようですが。
シャルダンの息子も画家でしたが、シャルダンほどの才能は無かったようです。
息子はシャルダンと衝突することが多く、息子はローマに絵画の勉強に行きましたけど、運河に飛び込んで自殺したとか、海賊に連れ去られて行方不明とか言われていて、シャルダンも相当なショックを受けたと思われます。
(二番目の奥様が亡くなった後にその遺産のことで争っていたという説もある)
シャルダンは1779年に80歳で亡くなっています。
その後シャルダンの絵画はワンパターンとして評価されなくなってしまいます。
再評価されたのは19世紀の半ばになってからのことです。
今では静物画の巨匠として揺るがぬ評価を受けているのです。
(特にマティスはシャルダンを高く評価している)
芳香剤のエステーというメーカーの社名ですが、ちゃんと意味があります。
エステーの「エス」は「Service(奉仕)」、「テー」は「Trust(信頼)」を意味し、またSTは「Super Top(最高峰の商品を目指す)」という意味もあるそうです。
シャルダンという商品名は、自社の芳香剤にシャルダンの絵のような落ち着いた雰囲気をなぞらえたというのと、当時の社長がシャルダンの絵を好きだったという話もあるようです。
(「消臭力」なんて商品もありますが(笑))
初期のシャルダンは壁や柱に取り付けて、プッシュすると上に吹き出す形だったんですよね。
おかげで日本では「シャルダン」というと、トイレのイメージがつきまとうことになってしまいましたが。
今回はシャルダンのことを取り上げました。
あまり絵画のことに詳しくない方も、こういう画家がいたことは知っていてほしいと思います。
昨夜の晩酌の肴がこちら。

チキンステーキの下には、袋入りサラダが敷いてあります。
相変わらずの原始人食いで、味付きチキンステーキの油が下のサラダに染みて美味しいのです。
(「原始人食」という言葉があるそうですけどそれとは違います、肉の塊にかぶりつくだけ(笑))
そんなに高くないしね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。