スプーキーじいさんって何考えてるの!?

貧乏・暇なし・不健康。一人暮らしのじいさんのブログです。このブログに広告とか金儲けは入っていません。スターは一個だけ付ける主義です。

スニーカーと私 2

私がスニーカーを意識しはじめたキッカケは、やはりマイケル・ジョーダン(MJ)でした。
昔はNHK-BSでNBAの試合を放送していて(録画・編集されたもの)、無料で見られました。
それで私もバスケを見るようになって、MJも好きになって。
当然、彼のバッシュにも目が行くわけです。
もっとも私がNBAを見始めたのは結構後になってからですが。

 

 

 

ファンの間でよく語られる伝説の一つで、NIKEのエアジョーダン1(AJ1)に関する話があります。

 

プロデビュー前のMJとの契約を獲得したNIKEは、MJのシグネチャーモデル、AJ1を開発します。
それは当時としては派手な、黒や赤を基調としたバッシュになりました。
当時のNBAではバッシュは白が当たり前で、MJが一人だけ黒✕赤のAJ1を履いたことは規定違反とされてしまい、罰金を取られました。
でもNIKEはAJ1の宣伝をしたいので、MJの罰金を肩代わりして試合でAJ1を履かせ続けた……

 

でも実はこれは間違い。
まずMJがプレシーズンマッチで履いていたのは、黒✕赤のエアシップです。
これに対してNBAは「レギュラーシーズンではチームメートに色を合わせないと罰金にするよ」と警告をします。
プレシーズンマッチではどんな派手なバッシュを履いても罰金にはならないのです。
そしてレギュラーシーズンが始まったとき、MJが履いていたのは白✕赤のエアシップでした。
白を基調としているので規定違反にはならなかったのです。
AJ1は開発期間が足らず、結局既存製品のエアシップのカラーリングを変えただけのものになった
カラーリングに関しては細かい話があるけど割愛します

 

その後MJはやっと作られた白を基調としたAJ1を履くようになり、問題となってしまう可能性のある黒✕赤のAJ1はオールスターゲームで初めて履いています。
そう、オールスターゲームではどんなバッシュだろうとユニフォームだろうと、違反になんてならないのですよ。
MJは罰金なんて払っていません。

AJ1の一番ポピュラーなカラーリング
この商品は履き口の黒い革が経年劣化でヒビ割れた状態を再現している

これはどこかの誰かが勘違いか想像で語ったことが、さも事実のようにファンの間で語られるようになった都市伝説ですね。
この手の「もしこうだったら面白いよね」という話を本当のこととして話してしまうのはオタク界隈に非常に多い

 

 

 

AJ1は大人気となり、一年間で一億ドルを売り上げたと言われています。
ただ、安くはなかったAJ1を巡っては強奪事件が多発して、転売ヤーもいたそうです。
AJ1は後に多数のカラーバリエが作られて正確な数は分かっていない
NIKEはその後、AJを毎年開発し発売していきます。
AJシリーズとMJ、シカゴ・ブルズNBA
アメリカではこれらが一体となって人気は急上昇、そしてスニーカー人気も高まっていきました。

 

※もっとも日本ではAJ1はあまり売れず、AJ2からAJ4は正規輸入がされませんでした。
 AJ5から正規輸入が再開されて、AJ6から大ヒットが始まるのです。
 その後初期のAJはプレミア化が進んでいきます。

 

私は遅れながらもバッシュ人気に気付いて、渋谷のセンター街のショップとかにディグりに行ったりしましたが、既に価格の高騰が始まっていて中々買えませんでした。
それまでのCONVERSEオールスターに比べたら「アホかっ!?」って言ってしまうようなお値段でしたね。
NIKEなどの人気モデルはそもそも扱っているお店が少なく、あっても貴重品扱いされていたりして(よくラップされてた)、本当に敷居が高かったのです。

 

 

 

その一方、NIKEエアマックスのブレイクは遅かったです。
イカットでゴテゴテしたバッシュは男の子の購買欲を刺激しましたけど、ローカットのいかにもスポーツシューズっていう感じだったエアマックスは注目されていなかったのです。

 

そこへ、みなさんお馴染みのエアマックス95が登場します。
この「エアマックス」+発売年という表記は日本の雑誌「Boon」が始めて、後にNIKEが採用したもの
ブレイクのキッカケはドコモのポケベルのCMでした。
当時まだ幼かった広末涼子が登場していて、履いていたのがウィメンズのエアマックス95だったのです。

広末着用モデル(エメラルドボーダー)

スニーカーファンはこのCMを見て「あのスニーカーは何だ!?」と騒ぎ始めたのです。

 

このエアマックス95は実は、それまでのエアマックスとは全然デザインが違います。
セルジオ・ロザーノというデザイナーが、「肉体の筋繊維」や「地層」や「汚れが目立たないように」などの色々なアイディアを元にしてデザインしました。

今でも大人気のエアマックス95(イエローグラデ)

みなさんが「運動靴」と聞いてイメージする靴とは全然違いますよね。
日本のバイヤーはこのデザインを奇抜と捉え、「これは日本では売れないよ」とエアマックス95の仕入れの数を減らしてしまいました。
まぁランニングシューズとしては「なし」かもしれないけど……
NIKE社内でも反対する者が多かった
最初は日本の若者向けの雑誌でも扱いは小さかった
このことが95の希少価値を押し上げることとなってしまったのです。

 

 

 

ドコモのCMの影響もあったし、こういういわゆる「ハイテク系」と呼ばれる新しさを感じさせるデザインはファッション的に使えると判断した人も多かったことで、エアマックス95は売れ始めます。
ランニング用ではなく、街歩き用にね。
人気に火がついたときには時既に遅く、流行の先端を走る連中によってエアマックス95は買い尽くされてしまい、大きな希少価値がエアマックス95に発生してしまいました。

 

この後に「エアマックス狩り」などの異常現象が頻発したことは、ある程度の年齢の方ならご存知でしょう。
エアマックス95のイエローグラデの人気は異常で、私が知る範囲でも60万円の値が付いたこともあるくらいです。
とにかく買いたくたって、モノがないのだから。
私も当時、エアマックス95の実物は見たことがなかったです。
エアマックスを履いている人を襲撃して奪っていく事件が頻発して、入手困難な貴重品としての転売が繰り返され、他人のエアマックスのビジブルエアをナイフで切ってしまう嫌がらせもあったし、多数のパチモンまで出てきてしまいました。
パチモンの場合、ビジブルエアがグミみたいなシールになっている粗悪なものもあったし、判別が難しい精巧なものもありました。

 

こうして日本中にスニーカーが大人気という認識が広がり、本格的なスニーカーブームが始まります。
実はこれは珍しいことで、メーカーが仕掛けたのではなく購買層が勝手に盛り上がったブームです。
私も雑誌を数誌買ってました。
スニーカーヘッズ(スニーカーマニアのこと、「ヘッズ」と略すこともある)と言うほどではないですが、チョコチョコ買ってましたよ。

 

 

 

というわけで今回はここまで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。