ブライトリングといえば日本でも人気のあるスイスの腕時計メーカーです。
以前松本零士のことを書いたときにも出てきました。
松本零士のマンガのメカのような、細かい目盛りが入ったデザインは目を引きます。
(逆に松本零士がブライトリングに影響されたのだけど)
当時の記事 ↓
代表的なモデルは『ナビタイマー』。

なんだか目盛りが凄いことになってます。
(文字盤に以前書いたテレメーターも見えますね)
これはつまり、パイロット用に開発された腕時計だってことです。
(ブライトリングは自社の製品を航空機の計器と位置づけている)
電卓のない時代のパイロットは、飛行機の狭いコクピットの中で色々な計算をしないといけませんでした。
「毎分何メートルの上昇を何分続けたら高度は何メートルになるのか?」
こういう計算を電卓なしでしなければいけなかったのです。
そのために、計算尺(けいさんじゃく)をベゼルに付けたのですね。
※太平洋戦争の頃の日本海軍のパイロットは、広い太平洋で空母から飛び立った後、かなりの距離を飛んで戦って、その後また空母まで飛んで戻らないといけなかったわけで。
正確な計算ができなければ空母には帰れなかったのです。
計算尺とはこういうものです。

定規のように細かい目盛りのついた細長い板が三枚並べてあって、上下の板は裏側で接続されていて、真ん中の板だけ左右に動きます。
あと全体をまたぐ透明な板があって、中央に赤い線が引かれています。
これを使うと計算ができるのです。
電卓のない時代、またはまだ高価な時代には、計算尺は広く使われていました。
私が十代の頃にはまだ中学校や高校に「計算尺部」があって、数学に強いヤツが集まっていて、大きな大会もありました。
この計算尺を円形にしたのが、ブライトリングのベゼルなのです。
詳しい使い方は知りませんけど、こういう「回転式計算尺」のベゼルは他のメーカーでも作っていました。

(1985年にTAGグループに入る前の1970年代の製品)
(状態のいい中古で40万円前後)
今となっては実際に使うかどうかよりも、デザインの面白さが人気なのでしょうね。
もう一つ、ブライトリングで人気のあるモデルの一つが『コスモノート』です。

ナビタイマーによく似ていますけど、インデックスの大きな数字を見ると何か気が付きませんか?
そう、12時の位置に「24」はまぁ分かるとして、2時の位置に「4」って変じゃね?
この腕時計は、短針が24時間で一周する24時間計になっているのです。
このコスモノートは、宇宙飛行士のために開発された腕時計です。
(「コスモノート=宇宙飛行士」ですね)
宇宙に行ったら昼も夜もないので、通常の12時間計だと時刻を間違えるおそれがあって、それで24時間計にしたわけです。
面白いですねー。
私もこれが大好きで、もし宝くじに当たったら最初に買おうと思ってます(笑)。
ちなみに。
吉祥寺のジブリ美術館ができた当初、ミュージアムショップではこのコスモノートの限定版が売られていました。
(「限定版が売っていた」じゃないよ(笑))
それがこちら。

コスモノートの「ポルコ・ロッソ・バージョン」です。
文字盤に愛機のサボイアS.21(架空の航空機)が描かれています。
裏蓋はスケルトンになっていて、窓にはポルコの顔が描かれています。
航空機繋がりってことですね。
※「スケルトン(SKELETON=骸骨)」とは機械式腕時計の中のムーブメントが見えるように窓を開けたもののことを言います。
つまり、「骨格」が見える時計ってことですね。
日本語の「透けている」と語感が似ているために「スケルトン=透けていること」と誤解している人が多いですけど、そういう意味なら「トランスルーセント(TRANSLUCENT=半透明)」が正しいです。
ちなみにこの腕時計、ミュージアムショップでは80万円で売られていました。
今は140万円くらいするみたいです(もちろん中古で!)。
もし普通のコスモノートと並べて同じ価格で売られていたとして?
これは買わないなー(笑)。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。