スプーキーじいさんって何考えてるの!?

貧乏・暇なし・不健康。一人暮らしのじいさんのブログです。このブログに広告とか金儲けは入っていません。スターは一個だけ付ける主義です。

おたくとマニア

今日はまた寒いですね。
今回はちょっとした昔話を書きます。

 

 

今は普通に「◯◯おたく」という言い方をしますが、元々「おたく」というのはアニメ、マンガ、ゲームなどのいわゆるアキバ系カルチャーにハマってる人のことを指す言葉でした。
そういう人たちのことを元々は「根暗ねくら、人間性の根が暗い人の意)」と言っていて、根暗が人に話しかけるときに「おたくは~」という言い方をしていたことをあるライターが記事に書いたことから「おたく」が広まったとされています。

 

根暗は臆病なので「あなたは~」「君は~」「お前は~」という言い方ができなかったのです。
「あんたは~」となるとちょっと乱暴に聞こえてしまうし。
そういう意味で「おたく」というのは、微妙な距離を保てる便利な言葉です。
そして、いつの間にか「おたく」は「マニア」に近い意味の言葉として、対象となるジャンルの後ろにくっつくことになったのです。
まぁ「根暗」にしろ「おたく」にしろ、人はあまり頭を使わずにレッテルを貼って済ませることが好きですよね。

 

※「おたく」という言葉が広まった80年代の半ば頃には、仲間内で「俺らって『おたく』なんだね」という会話があって、多少の違和感はありました。
「おたく」という言葉にネガティブなイメージが強かったのです。

 

※上記の「おたく」の定義からすると連続幼女誘拐殺人事件の宮﨑勤はおたくではないけど、性質的にはおたく的だったと言えます。
彼は(彼の父親に似た)「古くて貴重な映像のコレクター」というのが正当な評価だと思います。
そんな宮﨑をおたくとしたのは、メディアがいい加減だったからです。
宮﨑とメディアのせいで事件後には、アニメやマンガを趣味と公言できない空気になってしまいました。

 

 

 

私が見聞きしている範囲で感じるのは、「◯◯おたく」というのは「◯◯マニア」よりは軽いということです。
例えばよくカレーを食べるという人がいたとして(またカレーかい?)、すぐ「じゃあ彼はカレーおたくだね」ということになるでしょ。
聞いていて「え? その程度なのに?」というのが正直な想いです。
たぶん「マニア」という言葉が重い分、「おたく」という言葉がその下位として便利に使われているのでしょう。

 

個人的にカレーマニアと言ったら、スパイスを極めるために東大の大学院に進んだ印度カリー子さんとか、とんでもないレベルでカレー店情報に精通しているカレーおじさん\(^o^)/とかですね。
ああいう人たちの活動を見てしまうと、とてもじゃないけど自分のことを「カレーマニア」だなんて言えません。
私なんてせいぜい「カレーファン」ですよ。

 

※そういえばラーメンおたくな人たちって、「自分で作ってます」っていう話をあまりしませんよね。
カレーおたくな人たちの中には、自分で作ってる人が多い気がします。

 

 

 

私の亡き友人で、凄いおたくがいました。
彼(とします)はSF、マンガ、アニメ、模型、ロックのマニアでした。
こういったカルチャーが大好きで、放っておいてもどんどん掘り下げて楽しんでいくタイプの人間でした。
小遣いを全部趣味に投じてしまうので、住居も服装も食事も最低限で済ませているような、いかにもな感じです。
彼の部屋は今思い出しても凄かったですよ。

 

彼が凄いのは、好きなことに関してはとことん突っ込んでいく行動力です。
業界人の知り合いがとても多くて、Qは中々のコミュ力も持っていたといえます。
一つ例を挙げると、宮崎駿が作った『名探偵ホームズ1981年から制作開始)』ってアニメがありますよね。
あの作品はある事情で制作が途中で止まっていた時期があって、映画『風の谷のナウシカ1984)』との併映で初めて二本だけ公開されたのです。
その後テレビ放映されたが宮崎駿が演出したのは6話分のみ
Qはそのスタッフとも仲良くなっていて、『ナウシカ』の公開よりもずっと前に、併映された二本ではないエピソードのビデオを持っていたのです。
どうやって入手したのかは教えてくれませんでしたが、音声が入っていないそのビデオを私は見せてもらったことがあります。
今となれば時効ですけど、そんなの流出させたのがバレたらとんでもないことになっていたと思います。
Qはそういう出所不明の物や情報を沢山持っていました。

 

残念ながらQは火事で亡くなってしまいました。
Qと仲が悪かったご両親は、遺されたQの貴重なコレクションを全てゴミとして処分してしまって。
ご両親にはQのコレクションの価値は分からなかったのでしょう。
それを聞いた私は、Qが二度死んだような気がして悲しかったです。

 

 

 

もう一人、非常にノーマルな友だちの嫁(とします)がやはりおたくでした。
Rはマンガとアニメを中心に活動していたおたくで、仲間内では姐御的な存在だったそうです。
私は彼らの披露宴の司会を頼まれて、打ち合わせで初めて会ったのですけど。
その知識の量と深さには面食らったものです。
その上できちんと初対面の人とも会話できるコミュ力もあって、こんな人がいるんだなーと関心したものです。

 

ところが。
結婚した後にその友だちから聞いたところ、Rはマンガもアニメも辞めてしまったというではないですか!
なぜ……?
どうやらRにお子さんが出来て、今後妻と母として生きていくことになったとき、自分にとって一番大事なのは家族であって、家族を優先するとおたくとしては十分な活動ができないと思ったからみたいです。
中途半端な活動しかできないならもうやりたくない。
いやもう、ここまで来ると何も言えなくなりますよ……

 

 

 

QもRも立派なマニアでありおたくでした。
でも別に、マニアになれとかマニアは偉いと言いたいわけではありません。
マニアなんてのは放っておいても勝手になるものです。
マニアかそうではないかというのは上か下かではなく、人間の種類の違いだと私は解釈しています。
アメリカ人なら偉い、日本人は劣っている、そんなことは絶対にないのです。
私は広く浅くというタイプで、そのことに満足していますし。
ただ真面目に誠実に生きることこそが尊いのですよ。

 

よく「本を読むと頭が良くなるというけど、何から読んだらいいの?」という人がいますが、そういうことじゃない。
まして「人から◯◯おたくと呼ばれたいから」「自分にキャラが欲しいから」というのでもない。
そういう話を聞くと「無理すんなよ」って思ってしまう私でした。

 

 


 

 

まったく何の関係ないけど、古い画像を一枚。

 

チャゲ&飛鳥 (雑誌「Guts」1982年7月号より)

彼らにもこんな時代があったのです、若いな~。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。