前にちょっと書きましたが、私は高校生の頃に魚屋さんでバイトしていたことがあります。
通っていた高校の最寄り駅の近くにある、個人経営の小さいお店でした。
「バイトと私 2」に書いた、スーパーの中にあるファストフード店を辞めた後に見つけたバイトで、店頭の貼り紙を見て応募しました。
最初は自分だけで入って、大将夫妻と先輩に教えてもらいながら慣れていったのです。
ここのバイトは結構人数が多く、週末には六人くらい働いていました。
この魚屋さんはちょっと変わっていて、商品はマグロを中心とした刺し身と、サンマとイワシの丸干し(開いていない干物)がメインでした。
で、新人が入るとまずやらされるのは、この丸干しの試食を配ることです。
ここの丸干しは本当に美味しくて、大将はこれの仕入れルートを開発したからお店を始めたような人でした。
ただ、食べてもらわないと味は伝わりません。
それで丸干しをどんどん焼いて、それを道行く人達に配っていたのです。
イワシはそのまま、サンマは半分に切って、焼いたのを串に刺して配っていてかなりの量になりましたよ。
焼けば当然匂いも広まるので、特に休みの日は大盛況でした。
私がバイトで入った後に先輩が続々と辞めてしまって、大将に頼まれて私は自分の高校で仲間や後輩に声をかけてスカウトしていきました。
高校では表向きはバイト禁止でしたが、みんな小遣い欲しさでバイトしてましたよ。
ただ女の子の場合、お店の白い法被を着て長靴履いて試食を配る仕事はキツかったんじゃないかなー。
もっとオシャレでカワイイお店なら良かったのに。
あとお店の前に捨てられたゴミを掃除するのも下っ端の仕事でした。
新人が一つ昇進すると、今度はガスコンロで丸干しを焼きながら商品をお客さんに売る仕事になります。
焼くのも売るのも難しいことはなくて、ただ全身に匂いがついてしまうのが嫌でした。
ある晩、私がバイトを終えて電車に乗ったとき、ガラガラの車両の離れた席に座っていた人たちが「なんか魚臭くない?」って話し始めたときは冷や汗が出ましたっけ(笑)。
そしてもう一つ昇進すると、今度は刺し身コーナーで売る仕事になります。
法被の上に黒いビニールの大きな前掛けをして、大将から教わった知識で接客をするのです。
この頃に、マグロのサクの見分け方などを教わりました。
常連さんにはいい所をオススメしたりしてね。
刺し身コーナーは試食はなくて、匂いで悩むことはなくなりました。
その上が、後ろで魚をさばく係です。
まったくね、高校生に魚をさばかせていたとはとんでもないお店ですよ!
もっとも難しい魚は大将がやっていて、バイトがさばいていたのはカツオなどの簡単な魚だけです。
カツオは合う包丁さえあれば簡単にさばけます。
あとはイワシの手開きとかですね、これも教わればすぐにできます。
実はこの魚屋さんのバイトには、魚をさばくよりも上のポジションがあったのです。
それは、マイク!
お店の上に大きなラウドスピーカーが設置してあって、お店の奥にマイクがあって、これで呼び込みをやっていたのです。
大将から一通りの商品のその日の値段とかイチオシ商品のことを聞いておいて、それをテンポよく話す仕事です。
棒読みではダメで、緩急をつけて店頭の様子も見ながらという技がキモでした。
マイクだと接客はせず、匂いがついたり手が汚れることもなく、しかも時給は一番高いのです。
(忙しい時間帯ほどマイクで景気よくお客を呼び込む必要があった)
マイクを嫌がるバイトもいましたが、私なんて喜んでやってましたよ。
このお店は高校の最寄り駅の近くということで、お店の前を同じ高校の生徒たちがよく通りました。
私を知る生徒も当然いたわけで、私が「らっしゃいらっしゃい!」「ご利用ご利用~」なんてマイクで言っていたものだから、
「あれ、スプーキーの声がするけど?」
と思ってたらしいです(笑)。
ほんと、楽しいバイトでした。
この数年後、私は秋葉原の量販店でバイトをしたのですけど。
実は私はそのお店でもマイクをやっていて。
で、私がバイトを辞めるときに、代わりにマイクをやるバイトがいませんでした。
それで店長に頼まれて、三分間のエンドレステープ(カセットテープの中のテープがループになっていて三分間で一回転する、繰り返しの再生が出来る製品があった)に呼び込みの声を録音して、置いていったのです。
後で私の友だちが秋葉原に行ったときに、秋葉原のホコ天になった中央通りに私の声が鳴り響いていて爆笑したそうです。
うちの納戸部屋を漁っていたら、ラピュタのガイドブックが出てきました。
アニメ映画『天空の城ラピュタ』の公開直前に出版されたもので、宮崎駿が参加した座談会や対談20本がメインとなります。

終わりのほうに宮崎駿が描いたレイアウトが多数掲載されていて、中々面白いです。

宮崎駿によるレイアウト
この時点でかなり丁寧に描かれてますね。
映画の中の場面はこちら。

次元の右手がちょっと違います。
本編とは別に、相棒との二人旅に憧れた人も多いのではないでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。