昔、私がソフト開発をしていた頃の話です。
ソフト開発と言ってもゲームやネットじゃなくて、銀行なんかの大きなコンピューター(よく「汎用機(はんようき)」と呼ばれている)で走るソフトの開発ですね。
だから全然華やかではない、地味なサラリーマンの職場です。
汎用機の職場というのは、仕事を依頼している企業があって、元請けの企業もあって、そこにグループ会社や派遣会社の人間が参加して動くものです。
大きなプロジェクトが始まれば人がかき集められて、ある程度片付けば次の仕事へ移っていくということで、短期間で勤務先が変わる流浪の民だったりします。
雇用形態の違うメンバーが混ざって仕事しているのも特徴で、現場の企業の正社員と派遣社員では待遇は全然違います。
これは派遣社員を大勢使っている現場だとどこも同じだと思いますけど、お金の話はしないのが暗黙の了解となっています。
派遣社員が大勢集まるコールセンターなんかだと、コソコソと時給の話をすることはありますけどね。
ある現場で働いていたときのことです。
私は派遣会社の人間として、同じ会社から派遣された数人と一つのグループに属して働いていました。
多くのグループがあって、全体で数百人が働く現場です。
そのグループには現場の企業の正社員が数人いて、一緒に働いていました。
立場の違いはあれど皆協力的で、いいグループだったと思います。
一人を除いては……
グループのリーダー(正社員)より年上の正社員が一人いて(Jさんとします)、この人がダメダメだったのです。
酒飲みでよく遅刻や欠勤をしていて、勤務態度が悪くて仕事も出来ず、コミュニケーションも苦手で。
すぐ下ネタを言うし、不潔で臭くて嫌われ者でした。
仕事のことで質問しても答えられないことが多く、「どうしてこの人がここにいるのだろう?」と思うレベルでしたが、表立って文句を言うことはありませんでした。
派遣社員の立場でそこは言ってはいけないのです。
私を含む派遣のチームは、最年長者が優秀でみんなに上手く指示を出していて順調でした。
元請け側の評判も良かったです。
自分の派遣会社の評判がよければまた仕事がもらえるわけだし、みんな頑張ってましたよ。
もっとも陰ではJさんのことはボロクソに言ってましたがね。
ある日、仕事で一区切りついたタイミングで、グループの飲み会がありました。
近所の居酒屋を予約して、個室での飲み会でした。
こういうとき、Jさんは上機嫌です。
仕事から離れれば自分の好きなようにしていいのですから、当然です。
なにはともあれ飲み会は始まって、Jさんもグイグイ飲んでました。
グループのリーダーからは、派遣のチームはよくやってくれているとお褒めの言葉をいただきました。
こういうのは嬉しいものです。
一方のJさんは仕事が遅れていることと、一回飲みすぎて帰れなくなって職場の自席の下の床で寝て翌日そのまま仕事をしたことがあって、リーダーから叱られてました。
参加者から失笑がもれました。
このとき、Jさんの暴走が始まったのです。
すっかり酔っ払って不機嫌なJさんは、まずリーダーに食ってかかりました。
年下なのにナマイキだとか、まったく理不尽なことで文句を言って。
リーダーは明らかに困っていました。
それを嫌そうに見ていた我々にもJさんの暴言が浴びせられました。
派遣社員なんてクズだとか何とか、自分のことは棚に上げて言いたい放題。
こんなときも騒ぎを大きくしないのがマナーですから、全員が黙ってました。
そしてついに、調子に乗ったJさんは言ってしまったのです。
「俺はなぁ、給料を◯◯万もらってんだ、派遣じゃこんなにもらえないだろ!?」
その瞬間、リーダーや正社員の方々の顔色が変わりました。
我々派遣のメンバーは、違う意味で顔色が変わりました。
そしてリーダーはJさんの腕をつかんでどこかへ連れていき、しばらくするとリーダーだけが戻ってきました。
そして一言、Jさんは帰らせたと……
その後が大変でした。
我々派遣のチームは日々頑張っているのに、穀潰しのJさんのほうが給料が多いことが判明したからです。
かなりの差でした。
いくら正社員と派遣社員の違いがあるとはいえ、残酷な現実を突きつけられた形です。
「何だよそれ……」
そしてその空気を察した正社員側も、申し訳なくて悲しい表情でした。
飲み会は散々な結果で終わったのです。
週が明けて、派遣チームとグループのリーダーとで話し合いがありました。
リーダーからは謝罪の言葉と、Jさんは早急に別の仕事に変わってもらうこと、派遣の給料を上げることはできないが続けて頑張ってほしいことが伝えられました。
リーダーが頭を下げたこととJさんが異動することで、派遣チームのみんなはなんとかモチベーションを維持できました。
待遇の違いは致し方ないことも全員が理解していました。
どんなに気分が悪くても、ここは頑張る以外にないのです。
ただ、物凄く後味の悪い出来事でした。
現場でお金の話をするとどうなるか、その一つの事例を紹介しました。
Jさんみたいにはなりたくないものですね。
お米の価格高騰が続いていて終わりそうにありません。
うちではもうお米は買わないことにしようと決めていました。
近所のスーパーのカリフォルニア米は入荷が止まってましたし。
ところがこないだ、早い時間にスーパーに行ってみたら、備蓄米があったのです!
他のお米は5kgで四千円台後半ですが、備蓄米は¥3,750でした。
その差、約千円!
いや、「備蓄米」と書いてあるわけじゃなくて、国内産で複数の産地の米と書いてあって、それでこの値段ですから備蓄米だろうという話です。
なんかテキトーなデザインの袋に入っていて、精米されたのは数日前と書いてありました。
お米を買ってしまったので、もう今月はカツカツです。
でも白いご飯が思いっ切り食べられるのですから!
早速食べ始めています。



やっぱりご飯はいいですよね!
秋の新米に比べると味・香り・粘りで少しだけ劣りますが、不味いわけではありません。
昨年買ってしまったクズ米に比べたら全然いいです。
5kgあるので、これで当分お米には困りませんよ。
まぁでも、早くお米の値段が下がってくれれば一番いいのですがね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。