私は若い頃に、東京都板橋区板橋で働いていたことがあります。
JR板橋駅の近くですね。
栄えている池袋のすぐそばなのに、板橋駅周辺は郊外の街のように落ち着いています。
私がお昼に通ったのが、洋包丁・板橋店。
食べログ ↓
洋食店ですが、雰囲気としては町中華に近いです。
脂っこい料理で丸皿に盛られたご飯をワッシワッシとかき込む男たちのお店ですね。
女性はちょっと入りづらいと思います。
カウンターのみで、お昼時は混むから複数人で行ってもバラバラに座ることになるし。
目の前の厨房では、料理人が炎を上げながら豪快に料理しています。
※以前も書きましたが。
ネットで時々あるのが、このお店を「マンガ『孤独のグルメ』の第12話に登場したお店」とする記述ですが、それは同名の大山店です。
実際に板橋店に行けば、店内のレイアウトがマンガとは違うので分かるはずですけどねぇ?
私が通っていた頃にいた料理人で車だん吉にクリソツな人がいて、いつも唇がガッサガサに荒れていたので、私は見るたびにリップクリームをプレゼントしようと思ってました(笑)。
その後、東京都豊島区池袋で食事しようと思って、キッチンABC・池袋東口店というお店に入ったとき。
そこは洋包丁に似た洋食店でした。
食べログ ↓
メニューを見て驚いたのは、洋包丁・板橋店にあったのと同じメニューがあったからです。
私がそれまで、洋包丁・板橋店でしか見たことのない「からし焼肉ランチ」や「ジャンボ焼ランチ」などですね。
てっきり洋包丁のオリジナルメニューだと思っていたら、そっくりなのがあって。
(メニュー名は微妙に違う)
(からし焼肉ランチは東京都北区の「からし焼き」とは別物)
(マンガ『孤独のグルメ』ではジャンボ焼ランチはセリフだけで登場している)


その後も、洋包丁とキッチンABC以外でこれらの料理は見たことはありません。
それ以来、豊島区や板橋区のことを知っている人と話すときにはこの料理のことを聞いてみたのですが、ほとんどの男性はご存知でした。
洋包丁かキッチンABCか、どちらかで食べたことがあると言うのです(人気ですね)。
でもそれ以外の場所で食べたという人はいませんでした。
「豊島区や板橋区のローカル料理なのかな?」
そう思うだけで、なんの進展もないままでいました。
ある日、突然回答がもたらされました。
BSフジでやっているグルメ番組『日本一ふつうで美味しい植野食堂』という番組で、キッチンABCが紹介されたのです。
番組HP ↓
番組によると……
池袋にはかつて、生地や毛糸などを扱う手芸系のキンカ堂というお店があった。
一時期は手広く商売をやっていて、関東各地にスーパーも出店していたのが、やがて経営が傾いて2011年に倒産。
そのキンカ堂の池袋店は規模が大きく、昔は大食堂があった。
料理人を何十人も抱えていて、オリジナルメニューも存在するような食堂だった。
ところが1960年代の終わり頃に、この大食堂は営業終了することになってしまう。
職を失った料理人の一部は、池袋やその周辺にお店を出して、キンカ堂の大食堂で提供していたメニューも出すようになった。
それが今も残る、洋包丁・キッチンABC・ランチハウスミトヤである。
なるほど、キンカ堂の食堂から料理人が分かれていったので、同じメニューがあるのですね。
納得。
(私はキンカ堂で綿入れはんてんを買ったことがあります)
こういうレアな情報をテレビでやるのも、今どきっぽいですよね。
『植野食堂』という番組は、雑誌『dancyu』の元編集長の植野(← 軽薄)が人気飲食店を取材するという内容です。
その中でお店の歴史なども語られて、メインとなるのはお店の厨房でお店の料理人が教える名物料理の作り方。
番組のページに料理のインデックスがあるので貼っておきますね。
キッチンABC・池袋東口店の回では、私が大好きなからし焼肉ランチの作り方を紹介してました。
これは豚バラ肉の薄切りをラードで焼いて、黒胡椒をこれでもかとかけた料理です。
私は、一斗缶のラードをコンロで加熱して溶かして、それを料理人がオタマですくってフライパンにぶち込むところを何度も見てきました。
番組によると、からし焼肉は豚バラ肉をラードで炒めて、料理酒と塩こうじを加えて、最後に黒胡椒をかけて出来上がりだそうです。
なるほど、サラダ油で炒めて黒胡椒を振っても似ないわけだ!
というわけで、スーパーで材料を買ってきたのですが。
さすがに前置きが長過ぎです。
実際の料理の話は次に回します。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。