今回は理屈っぽい話です。
まずは宿題の回答です。
以前少し書きました、「グレイビー」という単語のことですが。
これも以前書いた『新しいカレーの歴史 上(近代食文化研究会、amazon Kindle版)』に解説がありました。
簡単に書くと、これまでに書かれてきた膨大な数のレシピ本を調べてみると、グレイビーには4つの意味があるとのこと。
1.ローストビーフなどにつけるソース
2.肉汁
3.カレーなどに入れる出汁
4.カレーやスープの液体部分
これら全てのスペルは"gravy"です。
おそらく我々が一番イメージするのは1.か2.でしょうね。
3.と4.は一般的ではないと思います。
(私がレシピの中で用いたのは4.です、インド風カレーのレシピ本によく出てきます)
あと私が検索した範囲では、カレーソースという意味で商品名に「グレイビー」という言葉が入っているものがいくつかありました。
どうやら最近、カレーソースのことを「グレイビー」と呼ぶ流れもあるようです。
※私がこれまで読んできたカレーに関する本の中では、カレーのドロドロの部分は「カレーソース」と呼ぶことが多かったのでここではそういう使い方をしています。
上記の本によると、「グレイビー」という言葉の意味は、レシピの前後の文脈から判断するしかないとのこと。
ややこしいですな。
そして「ルー」という言葉に関しても、上記の本に書かれています。
「ルー "roux"」という言葉は19世紀のフランスやイギリスで使われていて、
「小麦粉をバターで炒めて器に保存しておくもの」
という意味なのだそう。
日本で使われている「ルー」の意味は、「カレーのドロドロの部分」、または「インスタントカレー」ですが、これは和製仏語/和製英語なのだそうです。
※ちなみに「インスタントカレー」とは、ジャワカレーやゴールデンカレーなどの「お湯に溶かすだけで(具は入れるが)カレーになる商品」のことです。
昔は「即席カレー」という言い方をしました。
(「レトルトカレー」とは異なる)
昔は小麦粉を油で炒ったところにカレー粉を入れて混ぜてカレーソースのベースにしていましたが、この手間を省ける商品として大ヒットしたわけです。
インスタントカレーが発明されなかったら、日本の家庭で今ほどカレーライスは作られていなかったのかもしれません。
日本のカレーライスを作るときには小麦粉を使っていたため、「ルー」という言葉が用いられたのではないか、と上記の本には書かれています。
どちらにしろ、カレーに関する用語というのは分かりづらいですね。
カレーについての会話をするときに、使う用語に迷った方も多いと思います。
今さら整理して定義し直すということも無理でしょうし。
ちなみにネットで色々なSNSを読んで周っていて感じたのは、若い世代の意識としては、
「インスタントカレー」という言葉 = レトルトカレーのこと
家庭のカレー(つまりインスタントカレー) = きちんと作られたカレー
スパイスから作られたカレー = お店のカレー
ということになっているようです。
また家庭のカレーをインスタントカレーと呼ぶことには抵抗感があるように感じました。
面白かったのは、ある人がお友達に招かれて「手作りカレーをご馳走する」と言われて楽しみにしていたら、インスタントカレーだったというエピソードです。
それってチョコレートを削って溶かして型に入れたものを「手作りチョコ」というのと同じ理屈ですよね(= 中学生でも作れる、手作り風?)。
まぁ手で作っちゃいるけどね。
でもお湯に溶かすだけのカレーを「おふくろの味」と言ってしまうのは、私には抵抗感があります。
今当たり前に使われている「スパイスカレー」という言葉もヘンテコリンで、スパイスを使わなければカレーにはならないのにな。
(「頭痛が痛い」に近い)
普及してしまった以上、こちらが馴染むしかないのですが。
というわけで、カレーに関する用語について色々書いてみました。
さてさて、実は私の次のカレー作りについてはただいま進行中だったりします。
チキンカレーは作れるようになったので、今度は別のカレーを作ろうと思います。


何ができるのかな~? デッキルッカナ デッキルッカナ ♪
完成品は明日中には披露できると思いますので、お楽しみに。
(失敗しないといいけどね)
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。