スプーキーじいさんって何考えてるの!?

貧乏・暇なし・不健康。一人暮らしのじいさんのブログです。このブログに広告とか金儲けは入っていません。スターは一個だけ付ける主義です。

君は『風魔一族の陰謀』を知っているか?

私は動画のサブスクは、今はAmazon Primeビデオを使っています。
以前はHuluやNetflixを使ったこともありますが、今はアマプラとTVerくらいなものです。
ちょっと驚いたことがありまして、それはルパン三世の『風魔一族の陰謀』がアマプラで観られるようになっていたことです。
バブルの頃に発表されて強い批判を浴びて、まるで無かった作品のような扱われ方をしたアニメ作品なのに、自由に観られる日が来るとはね!

 

 

 

ルパン三世 風魔一族の陰謀1987年)』は、アニメ『ルパン三世』のOVAの一つ(最初のOVA)です。
OVA:オリジナルビデオアニメの略、ビデオソフトとして最初に発表されるアニメ作品のこと
これは映画館で先行上映されたので、劇場用作品とすることもありますが。
まぁそんなことはどうでもよくて、この作品はアニメ『ルパン三世』の声優を全とっかえした唯一の作品なのです!

 

ルパン三世の声優といえば、初期の山田康雄さんか、その後を継いだ栗田貫一でしょう。
それ以外の声優がルパンを演じたことなど知らないアニメファンがほとんどだと思います。
でも一回だけ、レギュラー声優を全て交代させた作品があって、それが『風魔一族』なのです。

 

※私は栗田貫一が演じたルパンを見るたびに泣きたくなります。
この人くらい演技力のない声優はいません。
今からでも辞退してほしいくらいです。

 

 

 

この作品は、東宝東京ムービーに働きかけて始まっていて、日本テレビは関与していません。
バブルの頃だっただけに、勢いだけで作られたような印象もあります。
詳しいことは分かりませんけど、アニメ『ルパン三世』の初期の面白さを蘇らせる作品にしようというスタッフの勢いだけは感じます。
ルパンのジャケットは緑色
それで大塚康生さんに声をかけましたが、大塚さんはもう若くないから作画の監修としてなら参加すると表明。
大塚さんは演出の仕事は避けていた
監督として採用された人物はTVアニメの演出から抜け出せず、期待も要求も高かった現場に耐えきれずに去り、結局この作品は監督不在で作られました

 

この作品では『カリ城』のようにTVシリーズの音楽は使っていません。
あと所謂「新ルパン」が世界中を舞台にしたことに対抗して、飛騨高山を舞台に設定しています。
五右衛門がいきなり結婚する(?)というつかみも中々秀逸です。
制作はテレコム・アニメーションフィルムです、あの『名探偵ホームズ』の宮崎回の作画を担当したスタジオです。
あと新ルパンの最終話とかね

 

 

 

問題は、声優の全とっかえ。
各種証言によると、山田康雄の仕事への拘りすぎが現場に嫌われていたことが原因としてあるようですが……
作画の現場は知らなかったという証言もあり、結局旧声優陣への説明がないままに公開に至るわけです。
これに旧声優陣は激怒。
新声優陣だって依頼されたから演じたまでで、根回しは済んでいると思っていたのだから堪りません。

 

もう一つは、ファンの拒絶反応です。
私なんかは「これもいいじゃん!」と思いましたが、当時のルパンファンの多くは「声優を代えるなど有り得ない!」という反応だったのです。
確かに、ルパンを諸星あたるカイ・シデンの声で演じられたら違うと思うでしょう。
この作品でルパンの声を担当した古川登志夫のところにも、抗議の手紙が山程届いたそうです(お門違い)。
でもそれは変化を面白がれない、頭の硬い人間の反応です。
大塚さんは声優の交代ばかりが注目されて、作画の違いに言及する人が少なかったことを嘆いています。
心も視野も狭い人が世間には多いということですね。

 

 

 

賛否両論のこの作品は、これまで封印作品のように扱われてきました。
それがアマプラで見られるようになって、驚きを隠せない私です。
今見ても優れた作品だと思います、感想は人それぞれだと思いますが。
もしまだ観ていない方は、時間がないなら開始31分くらいのところからでも観てください。
大塚さんが得意とした「作画だけで笑わせる」ことに成功しています。

ここからの一連の流れは必見です!

 

アニメ『サザエさん』でも『ドラえもん』でも、声優の交代に批判はつきものです。
でも高齢になるまで頑張って、ファンのことを思って体力的に無理をして続けてきた声優さんが「もう無理」と思って交代しようとしたときに、「代わらないでほしい」と言うのは残酷だって思わないといけないですよ。
ドラえもん』は主要な声優は全て交代していて、『サザエさん』はサザエさん以外は初代とは別の声優さんが演じています。
ちびまる子ちゃん』だってそうです。
それについて、今はみんな慣れたでしょ?
カツオくんの声優の変遷なんて、グッと来るものがありますし。

 

声優っていう仕事も大変ですね。
でも今後は、AIによって過去の演技から新しい演技を生み出すこともできるようになるのでしょう。
亡くなった人の過去の映像や音声から新しい会話を生成するシステムもあるそうですし、色々複雑な想いですよ。

 

あとルパン三世の新作が時々作られますけど、いい加減『カリ城』の呪縛からは逃れたほうがいいと思います。
結局フォロアーはオリジナルを超えることなんて出来ないのです。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。