私は物持ちがいいので有名なのですが(どこで?)。
こないだ書いた飲食店の記事に関係して持ち物をガサゴソ漁っていたときに、四十年前の新聞記事を見つけてしまいました。
当時読んで、あまりにもおかしくて、それで保存しておいたものです。
その存在なんてとっくの昔に忘れていましたよ。
それが今読んでも面白いので、ここに公開します。
昭和60年(1985年)4月17日(水)のサンケイ新聞から。
社会面の片隅に、こんな記事が載ってました。




他人の不幸を笑ってしまって申し訳ありません。
でももう出だしから面白いでしょ?
「麻雀つきすぎ興奮、心不全」
その次に、
「あまり強くない人」
これ本当に新聞記事か? って思わされるタイトルです。
この後も名調子が続きます。
雀荘の店名も「いつものところ」って、おふざけ入ってるし。
(検索してみましたが無くなってしまったようです)
それから、
「半チャン四回の間に親マン二回、倍満二回をあがって絶好調。」
っていうノリがね、麻雀を知らない読者を置いてけぼりにしています。
「半チャン」とは、麻雀における競技回数の単位です。
「親マン」とは、四人競技の麻雀では誰か一人が交代で「親」となるのですが、自分が親のときに満貫(マンガン)で上がることで、普通の満貫よりも点数が高いのです。
「満貫」とは、自分の手(牌(ハイ、パイ)の組み合わせ)が完成して上がったときの点数が高いことを表しています。
「倍満」とは、満貫の倍の点数で上がること、つまり凄くいい手を完成させたという意味です。
この記事に書いてあるような状況になれば、凄く嬉しいでしょうね。
……という説明が必要だと思います(笑)。
「いつもは負けがこんでいるだけに」っていうのがまた、いい味出してます。
「イーシャンテン(一向聴)」とは、自分の手が完成する一歩手前が「テンパイ(聴牌)」で、そのもう一歩手前の状態のことです。
おそらくこの方は、いつもと違ってトントン拍子にいい手が出来上がっていくので興奮していたのでしょう。
そして悲劇が起きてしまいます…… フー。
この記事って、医師の診察結果はなくて、仲間の憶測しか載せてないのですね。
「原因らしいという。」で終わらせてんじゃねーよ! と思ってしまいます。
麻雀の内容を詳しく書いているくせに、どのくらい負けがこんでいたのかの記述はないし。
(まぁ賭け麻雀は違法ですから……)
こういういい加減な記者が書いたからこそ、笑える記事になっているわけですけどね。
51歳で無職の男性が、いつもは負けてる麻雀でドッカン!ドッカン!いい手で上がり続けて、心不全を起こすほど興奮したというわけです。
どうせ賭けていたでしょうし、いつもはお金を払う立場の人が逆にガッポリもらえることがほぼ確定したのですから、興奮するのも当然です。
それにこの当時はタバコは当たり前でしたから、この位の年齢なら心臓も悪くなっていたと考えられます。
私の父もヘビースモーカーでしたが、60代前半に心筋梗塞で倒れてますし。
ご家族はどんなお気持ちだったのか、お子さんはいたのか。
もしいたとして、自分の父親が麻雀でツキまくって興奮して死んだなんて、やり切れない想いでしょうね。
……やだ、湿っぽくなっちゃった。
これが週刊誌の記事なら分かりますが、一応全国紙ですからね。
おおらかというか、何と言うか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。