スプーキーじいさんって何考えてるの!?

貧乏・暇なし・不健康。一人暮らしのじいさんのブログです。このブログに広告とか金儲けは入っていません。スターは一個だけ付ける主義です。

国立競技場の想い出

どこかのバンドが野外ライブをやったら、周辺住民の騒音問題に発展してしまったというニュースを見ました。
それで思い出したことがありまして。

 

 

 

今から十数年前に、私は東京でタクシー乗務員をやっていました。
たった数年間でしたが、色々な経験をしました。

 

タクシーというのは、一台の車を二人の乗務員が「相番(あいばん)」となって交互に乗るようになっています。
それ以外の乗務回数の少ない高齢乗務員や新人は、普通の乗務員が休みの日にその車に乗ったりするわけです。
こういう仕組みで、タクシー会社は車が無駄に休まないようにしています。
乗務員は交互に乗るので、好きな日に乗務できるわけではありません。

 

当時の東京のタクシーはビジネスマンの利用が一番多く、次が富裕層でした。
インバウンドが激増した今は知りませんよ。
当時はインバウンドや観光客をお乗せすることはマレでした。
だから当時は土日祝に乗務したって全然稼げなかったのです。
特に休日は夜の街に人がいないのが痛かったですね、ロングのお客が拾えないのだから。

 

相番の関係で土日祝に乗務するときには、私は何かイベントがないか調べていました。
人が集まれば手も挙がるだろうということです。
例えば東京ビッグサイトコミケでもあれば、タクシー需要は大きいのです。

※今は知りませんけど、当時はコミケのときに電話でタクシーを呼ぶことはできませんでした。
 なぜなら誰が電話したお客様なのか、乗務員には見分けがつかないからです。
 会場周辺に大勢の人がいて、大勢が手を挙げている状況で、呼んでくれたお客様を判別することは不可能です。
 クレームに繋がる可能性も高く、それで禁止となったのです。

 

 

 

それはある夏の土曜日だったか、日曜日だったか。
その日乗務になった私は午前中に出庫して、何かイベントがないかとスマホで検索をして、国立競技場で嵐のコンサートがあることを知り、早速向かいました。
建て替えられる前の国立でしたが、コンサートが開催されるのは初めてだったのではないかな?
大勢の人が集まればタクシーに乗る人もいるはずだ。
でもコンサートは夜ですから、あまり期待しないで行ってみたのです。

 

そしたら、いるわいるわ!
国立の周辺には女性が大勢いました。
後で知ったのですが、昼間はグッズの販売があったみたいです。
意外なことに他のタクシーはあまりいなくて、すぐ手が挙がってお乗せすることができました。
その後数回お乗せすることができたのですけど、みなさん宿泊されているホテルへ行ってくれということでした。
グッズを買って一回宿に戻って、夜に出直すようでした。

 

 

 

私はその日は一日、国立競技場の周辺にいました。
昼間は手が挙がっていた国立周辺でしたが、夕方になると手が挙がらなくなりました。
コンサートが始まるので、国立からタクシーに乗る必要がなくなったのでしょう。
やがてコンサートが始まったのか、中から音が漏れてきました。
それでも、国立の周辺にはまだ大勢の女性がいます。
やがて分かってきたのは、彼女らはチケットが取れず、それでも会場に来たファンだったこと。
道端に座り込んだりしながら、じっと会場から漏れてくる音を聴いていたのです。
凄いなぁ!
普通、チケットが取れなければ現地には行かないじゃないですか。
改めて嵐の人気の高さを知った私でした。

 

その後も淡い期待を込めて国立の周辺を流していたとき、私はあることに気付きました。
ある場所に女性が集まっていて、上を見ていたのです。

 

 

周辺は様変わりしていますが、信号の交差点の角にある小さな公園です。
ここに大勢の女性が立っていて、国立競技場と逆の方向を見上げていました。
はて?
ぐるっと一周してきた私は、やっと理解しました。
彼女らが何を見上げていたのかを。

 

今のストリートビューだと建設中になっている、大勢の女性が立っていた場所の斜向かいの角には、当時大きなビルが建っていました。
赤い線で描いた形のビルがあった

※右前方に進むと原宿駅、左へ進むと南青山

このガラス張りのビルの窓に、国立競技場のビジョンが反射して映っていたのですよ。
女性たちはそれを見ていたのです、漏れてくる音を聴きながら。
その熱心さには脱帽です。

 

 

 

コンサートが終わってからは、大勢の女性が出てきて手も沢山挙がりました。
お乗せしたみなさんが興奮していて、上機嫌でした。
宿泊先へ行く方ばかりでしたから、「ロングでウハウハ」ということはなかったですけど。
それでも幸福のお裾分けをしていただいたようで、いい乗務ができましたよ。
懐かしい想い出です。

 

 


 

 

猛暑が続いています。
みなさん熱中症にならないように警戒してください。
水分や塩分の補給、睡眠と食事もしっかり摂って備えましょう。

 

昨日のお昼に食べた餃子ライス



 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。