世の中には色々なマニアがいるもので。
特に日本人は凝り性な人が多く、マニアックな趣味を楽しむ人も多いのだと思います。
さめひろしさんという方がいます。
この人は私とほぼ同世代で、十代の頃からミリタリーにハマり、サバゲーをやったり軍服を集めたりしていたそうです。
そんなさめさんは第二次大戦のドイツ軍の軍服にハマった勢いで、当時のドイツ軍の兵隊が普段どんなご飯を食べていたのかまで調べたそうです。
そういう調査の結果を同人誌にまとめていて、amazonでも沢山売られています。
中でも興味をひかれたのは『クッキングナチ』シリーズ。
私もミリタリーには興味があって、楽しく読ませていただきました。
今回まず読んでみたのは『クッキングナチ 合本版01』です。
プラモデルにハマった私世代だと、タミヤのミリタリーミニチュアシリーズ(MM)に手を出した方は多いと思います。
MMは、主に第二次大戦の戦車や装甲車を1/35でキット化したシリーズです。
灰色の軍服を着たドイツ兵もよく作りました。
そのとき、ドイツ兵が体にぶら下げているものを見て、その中に飯盒(はんごう)があったので何となく「ドイツ兵もご飯を炊いたのかな」と思ってました。

(タミヤのフィギュアは頭身が低い(笑))
1:ガスマスクケース
2:ヘルメット
3:水筒
4:飯盒
5:雑のう
6:スコップ

これらを大きなリュックに入れたりしなかったのですね。
(キャンプに行く人みたい)
さめさんの同人誌を読んでみて驚いたのは、飯盒は元々ご飯を炊くためのものではなかったというのです!
飯盒はドイツ軍ではただの食器であって、その形を日本軍が真似して、日本軍が飯盒でご飯を炊くようになったとのこと。
私はてっきり、飯盒はご飯を炊くために作られたものだと思っていましたよ。
ドイツ軍では飯盒の本体とフタに料理を入れて食べていたそうです。
あとドイツ軍では、朝に硬く焼かれたパンの固まりが配られて、それが一日分だったそうです。
それ以外に料理が出て、飯盒に入れて食べていたと。
そのパンですが、一個を二回に分けて食べるわけで、朝に1/2を食べたら残りはどこに入れておくのか?
それが雑のうの本来の役割だったということです。
雑のうをドイツ語では、
Brotbeutel (発音は「ブロートボイテル」)
と言い、Brot = パン、beutel = バッグ という意味になります。
つまり、パン袋。
いやー、これも意外!
雑のうというから小物入れだと考えていましたけど、元々はパンを入れておくための袋だったわけです。
さめさんは雑のうを小物入れにしている人はパンをどこにしまったのか? と書いています。
私はそれを読んで、食事のとき以外は空になる飯盒に入れていたのではないかと思いました。
さめさんの『クッキングナチ 合本版01』には、ドイツ軍の兵隊が普段食べていた料理を作ってみた記事とか、海外の食料を取り寄せて食べてみたとか、ライ麦パンを焼いてみたり、ウサギ肉の料理を作ってみたり、ソ連軍の制服や食器を調べたり……
この一冊だけでも物凄い濃さ!
そしてただ濃いだけじゃなくて、さめさんの本はとても楽しそうなのです。
ただマニアックな知識を集めて集めて、「ふー、大変だったー」というのではなくてね。
ドイツ軍の軍服と装備品をコレクションして、そういう仲間で集まって、ドイツ兵と同じものを作って食べてみるなんて、実に楽しそうです。
正にマニアの鑑!
ブロガーによくある、自分で勝手に縛りを決めてその中で頑張ってます! 大変です! 的なのじゃなくて、こういうのが私の理想のマニアです。
久しぶりに楽しい本を読ませていただきました。
あと思ったのは、戦況が悪化すると戦場にいた兵隊たちは満足な食事も摂れなかっただろうなぁということ。
食料だけじゃなく、燃料や弾薬などの補給はまともに機能しなくなったことでしょう。
どこの戦場でも同じように、兵隊は苦労したのです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。