今回は、我々がよく耳にするけど詳しくは知らない音楽について書きます。
茶飲み話などに活用していただけたら嬉しいです。
Mobile Melody Series 『牛細切り肉と椎茸の炒めもの~Cooking man』(2003年)
バラエティ番組なんかで中国料理店が出てくると流れがちな曲です。
元々は『熱烈的中華飯店』というドラマの劇伴です。
(2003年、フジテレビ、鈴木京香や二宮和也など)
このミュージシャンの名前ですけど、調べてみたけどよく分からなくて。
もしかしたら違うかもしれません。
ダニエル・リカーリ 『ふたりの天使』(1970年)
テレビの色っぽいシーンで使われがちな曲です。
これは本当に昭和の頃からよく聴いてきた曲ですね。
フランスの歌手、ダニエル・リカーリが歌っています。
リカーリは映画『シェルブールの雨傘』でドヌーブの吹き替えを担当した人。
この曲は最初は彼女名義ではなく、評判がいいので録音しなおして大ヒットしたものです。
落ち着いて聴いてみればいい曲ですね。
ヴェルディ 『レクイエム「怒りの日」』(1874年)
ヴェルディ絶頂期の作品ですね。
アニメや映画でよく使われています。
ちなみにこちらは、1860年にメルキオーレ・デルフィコが描いたヴェルディのイラストです。

時代は違えど、日本のマンガやアニメに近いものを感じてしまいます。
小田和正 『between the word & the heart -言葉と心-』(1988年)
テレビ朝日系『建もの探訪』(← テレビ朝日のHP)のOP曲です(12秒から)。
小田の1988年のアルバム『BETWEEN THE WORD & THE HEART』に収録されています。
これだけ長年使われ続けているのに、この曲はシングルカットされていないのです。
一つ覚えていることがあります。
『建もの探訪』は放送日や放送時間がよく変わるのですけど、以前は土曜日のもっと遅い時間(普通の人が起きるくらい)に放送されていました。
その頃、日テレの『ぶらり途中下車の旅』も同じ時間に放送されてまして。
当時の『ぶらり』のテーマ曲って、鈴木康博が担当していたのです。
そうです、元オフコースの二人が同じ時間に表裏の関係だったのですよ。
クインシー・ジョーンズ 『アイアンサイド』(1967年)
『ダウンタウンDX』をはじめとして、あらゆる場面で使われ続けている曲です。
元々はテレビドラマ『鬼警部アイアンサイド』のテーマ曲です。
昔見たなぁ、主人公は車椅子なんですよね。
今やそんなドラマのことなんて老人しか覚えていません。
しばたはつみ 『小さな瞳』(1977年)
これはロッテのチョコレートのCM専用に作られた曲です。
日本の歌謡界で大活躍したハマクラこと、浜口庫之助の作品です。
歌っているしばたはつみは後に『マイ・ラグジュアリー・ナイト』(← youtube)が大ヒットしています。
(来生姉弟の作品、私は来生たかおバージョンのほうが馴染みがある)
お馴染みなのはこの動画の中のフレーズ(1分14秒)。
未だにロッテのチョコレートのCMではこのフレーズが使われています。
この短いフレーズに元の曲があったなんて、若い世代は知らないでしょうね。
昭和らしい優しいいい曲です。
ジャスティン・ティンバーレイク 『I'm Lovin' It』(2003年)
イントロを聴いていただくと分かると思いますが、これはマクドナルドのCMのラストの部分の元になっています。
あの「ぱらっぱっぱっぱー」ですね。
当時、業績が悪化したマクドナルドが形勢逆転を図ったキャンペーンで、まず「I'm Lovin' It」というコピーが作られ、それに曲をつけていきました。
それでジャスティンの曲がまずリリースされ、それが大ヒットしてからマクドナルドがCMを流し始めたわけですね。
ただこの経緯には別の説もあるようですけど。
クインシー・ジョーンズ 『ソウル・ボサ・ノバ』(1962年)
これくらい何気なく我々の周囲に流れていて、しかも意識されていない曲というのはないのかもしれません。
ラジオでは本当に昔っからよく使われている曲です。
だからラジオをよく聴く人には覚えがあると思います。
クインシーが彼のバンドのために書いた曲で、大ヒットしたうえに色々なところで使われています。
カッコいいですねぇ。
ダニエル・リカーリ 『エリザベス・セレナーデ』(1981年)
これは知っている方は少ないかもしれません。
テレ朝系『マツコ&有吉 かりそめ天国』の視聴者のお便りのBGM。
この番組を見ていないとね。
なんだか夢の中みたいな曲で、上述の『ふたりの天使』に通じるものを感じます。
『Theme de Restaurant de Roi ~「王様のレストラン」テーマ~』(1995年)
作・編曲・指揮:服部隆之
こちらはドラマ『王様のレストラン』の劇伴です。
(1995年、フジテレビ、松本幸四郎や山口智子など)
テレビでは本当によく使われる曲です。
ドラマや映画のよくできた劇伴というのは、他の番組でも使いやすいのでしょう。
あとこちらもよく聴きますね。
よく聞かれることですけど、こういう曲の使用料はどうなっているのか?
権利の侵害はないのか?
日本の場合、発売されている曲の多くはJASRAC(日本音楽著作権協会)に登録されています。
JASRACは登録された曲の権利を守り、使用料を徴収し権利者に支払う業務をしています。
(使用料から手数料を引いて支払われるのが印税)
CDのケースの裏なんかにJASRACのシールが貼ってあったりしますよね。

ちょっと前に、音楽教室で使う曲の使用料で揉めていたこともありました。
自分で苦労して作った曲を音楽教室で勝手に使って商売していたら、そりゃカチンと来ますわな。
そういう権利者を守るのがJASRACの役目です。
もちろん、自分の曲を使ってくれてありがとうという人もいるでしょう。
放送局の場合、簡単に書くとサブスクみたいな契約をJASRACとしています。
以前は、
「放送局の収入の何%を払えばJASRACに登録された曲は自由に使えます」
みたいな契約で、手続きを簡素化していたのです。
CDのほとんどにJASRACマークがついているのだから、JASRACと契約をしていればほとんどの曲はこのお金さえ払えば使いたい放題なわけです。
JASRACの契約方法について、2015年に独禁法違反という判決が出て、翌年にJASRACは判決を受け入れました。
JASRAC以外の団体が管理する曲があったとしても、JASRACは自分たちが管理する曲とそうでない曲の割合をまったく考慮しない料金体系なので、放送局は他の団体の曲を使ったらコストが増える、つまりJASRACに集中するということです。
例えばJASRACの曲が六曲、他の団体の曲が四曲だったとしても、JASRACは十曲分の料金を要求します。
そこで放送局が他の団体の曲も使用すると、他の団体にも料金を支払わないといけないからそんなの無駄ですよね。
JASRACの持ってる曲は多いから、JASRACだけでいいや。
そこで裁判所はJASRACに「六曲分だけ徴収するようにしないと他の団体が参入できない」という判決を出したわけです。
そして関係各所が集まって、この判決に沿ったルールにしようということになったのです。
他にもJASRACに関しては揉め事が多いですね。
数年前からテレビでよくアニメ『サザエさん』の劇伴が使われるようになりました。
これは『サザエさん音楽大全』というCDが2013年に発売されたからです。
(フジテレビの『フルタチさん』(2016~2017)などは顕著だった)
CD化されていない番組の劇伴を使うには許可取りが必要ですけど、JASRACに登録されたCDが発売されたのなら従来の契約の中で処理できますからね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。