昔から戦車の写真を見ていて不思議だったのは、こういうヤツですね。

M-4 シャーマン中戦車です。
砲塔の上にいるのが車長(Commander)、車体の向かって左側から顔を出しているのが無線手兼前方機銃手(Radio Operator / Nose Gunner)、右側が操縦手(Driver)、その他に装填手(Loader)や砲手(Gunner)もいますがこれは戦車の構造によって異なります。
たとえば今の陸上自衛隊だと戦車の主砲は自動装填なので、乗員はたった三名です。
もしキャタピラが切れてしまったとき、その交換は三人では無理なので助けがいるのです。
ま、それはそれ。
車長はこういうときはシートの上に立つのでしょう。
でも車体の上から顔を出している二人って、中でどうなってるの? って思ってました。
後で調べて分かったのは実は簡単なことで、戦車の前の二人の椅子って上下動するように作られているのです。
周囲をよく見たいとき、または近くに敵がいなくてリラックスしたいときなどに顔を出せるようにしてあるのです。
ネットで「中で立っている」とか書いている人がいましたが、それは間違い。
以前テレビで北海道の陸自の演習を見ましたけど、視界を確保するために吹雪いている中で顔を出しているのが大変そうでした。
これがM-4の操縦手の椅子です。

前から撮影しているということは装甲板を付ける前か、外した後ですね。
シンプルなシートの下には大きなバネがあって、レバー操作で上下動するのです。


「VERTICAL RELEASE HANDLE」というのがシートを上下させるレバー。
なんかオフィスチェアに似てますね。
操縦は前にある二本のレバーで大体のことが可能なので、シートが動いても大丈夫。
またシートを下げたときに少ししゃがむ姿勢になるので、シートを上げても足は床から離れません。
これは他の戦車でも似たような構造になっていることが多いです。
最近のハイテクな戦車は知りませんけどね。
私は以前、自衛隊の基地で戦車に乗ったことがあります。
動かない、置いてあるだけの戦車ですよ。

昔の怪獣映画でボッコボコにやられていた61式戦車です。
何のイベントだったか、子供たちが行列して順番にコマンダーズハッチ(砲塔の上のハッチ)に入れてもらってました。
私は行列が嫌いなので(笑)、許可を得て一人でドライバーズハッチから入らせてもらったのです。
(また単独行動かい)
まず暗い、そして狭い、クッションが効いていない。
居心地の悪そうな場所でしたよ。
当時はシートが上下動することを知らなかったから、試しはしませんでした。
印象的だったのはペリスコープ(潜望鏡のこと)。
横長の四角い窓から外の景色が黄色く見えました。
(このプリズムの部分だけ、たまに放出品で出るようです)
敵が近くにいる場合は、操縦手はシートを下ろしてハッチを閉じて操縦します。
そのときにのぞき穴なんてあったら、敵の弾が直撃したときにやられてしまいますよね。
防弾ガラスだって最初の一発か二発保てばいいくらいでしょ。
だからペリスコープで間接的に外を見るのです。
車長も同じで、コマンダーズハッチにもペリスコープがついています。
この様に戦車の乗員の視界は非常に狭く、お互いが補い合う必要があるのです。
このことを思い出させてくれたのは、アニメ映画『機動警察パトレイバー 2 the Movie』です。
この映画のクライマックスで、パトレイバーの乗員が上がってくるシーンがあるのです。

↑ レイバーの顔の下にヘルメットを被った人がいますね。
普段はこんな風に人は見えません。
あと人の前にある細長い窓は、おそらくペリスコープと思われます。
下記の設定画は違っていますけど、モニターがダメになったときでも視界を確保しないといけませんから。
『パトレイバー』ではこのシートの上下動をあまり詳しく描写していなかったので、私もどういう仕組みなのか分かりませんでした。
今回ちょっと調べてみたのですが。

これがパトレイバーのコクピットです。
シートの肘掛けにあたる部分にレバーがあって、これで操縦するようです。
シートの脇にあるレバーがおそらく、上下動に関係あるのでしょう。
あと正面のモニターの右側にも一本、スティックがありますね。
ま、アニメやマンガですから、あまり細かい操縦法は設定されていないと思います。
それからこちら。

設定画の左側が前ですね。
シートはおそらく電動で上がると思われます。
乗員の頭の上のハッチは洗濯機のフタのように後ろに開き、前に防弾ガラスが立ち上がる仕組みです。
(こんなに薄い防弾ガラスはないと思いますけどね、近未来のハイテク?)
正面には細長いディスプレイだけで、左右にあるモニターに情報が映し出されるようです。
つまり、シートを上げた有視界モードでは肉眼が頼りってことなのでしょう。
(可能性としてヘルメットのバイザーに情報が投影されることも考えられます)
前方に二本のスティックがありますが、レイバーの手を使った細かい操作はこれを使うようです。
このスティックはシートを下げたときは、下へ下げられるようになっているのでしょう。
初期のパトレイバーのアニメってまだCGとかが使えなくて、メカも全部人が手で描いていました。
本来はシートの上下動も分かりやすく描写したかったのを、そこまで描く余裕がなかったのかもしれませんね。
レイバーの内部のことだから、見えないままで良しとしたのかもしれません。
それも今ならCGで綺麗に描写できそうです。
今年新作が発表されるそうですから、そこで描かれると私は嬉しいのですが。
というわけで、今回は重箱の隅をつつくような記事になりました。
普通戦車の椅子のことなんて考えませんからねー。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。