私が高校生の頃に、ギター部の部長をやっていた事は前に書きました。
自分の代は部員が少なくて、二年生になるときに部長を押し付けられたようなものなのですが。
そのとき入部してきた新一年生の中に、G子という目立つ女子がいました。
G子はルックスが良くて、ギターはまだ始めたばかりでした。
お兄さんからのお下がりという古いフォークギターを持ってきて練習していましたけど、正直上達しそうもないし練習熱心でもありませんでした。
G子はおしゃべりが好きでね、男子部員を捕まえてはベランコベランコしゃべってましたよ。
新入部員のリーダー的存在で真面目なK子は、それをよく注意していました。
(この時代の女性の名前は「~子」が多かった)
G子は他の新入部員と違って少し大人びていました。
どうやらG子はお兄さん繋がりで、音楽をやっている大学生グループとの付き合いがあるようで、それが楽しいのだとよく話していました。
そのせいか、うちのギター部のほうは二の次という感じでした。
G子は部ではハッキリ言えば浮いてました、調子に乗ってました。
私はG子には練習に打ち込んでもっと上手くなってもらいたくて、小言を言ったこともあります。
K子の愚痴もよく聞いてましたから、正直うるさいG子にはギター部を辞めてほしかったです。
その頃の私には可愛らしい彼女がいましたから、別にG子のご機嫌を取る必要もなかったし。
ある日G子が部にチラシ(今風に言えばフライヤー)を持ってきました。
(ちらしとかフライとか旨そうですな)
G子が顔を出しているフォーク・グループの中の一人、Lさんが事故で亡くなったのだそうです。
G子は私にそのチラシを渡して、大好きなLさんの追悼コンサートだから聴きに来てほしいと言いました。
G子はLさんの彼女ってわけではないのですが(しらんけど)、珍しくしょげたような、悲しそうな顔をしてました。
私はそのLさんの名前を知っていました。
地元でフォークをやっている人間なら名前くらいは知っているという、ちょっとした有名人だったのです。
私は会ったことはないし曲も聴いたことはないけど、なんか活躍しているグループがあって、そこで曲を書いてボーカルやってる人は凄いんだって、そんな話でした。
馴染みの楽器店の店員さんからも、その名前は聞いたことがあります。
G子はその追悼コンサートのボランティア・スタッフをやっているそうです。
部のみんなに「来てね」って声をかけて回っていました。
もっとも、あまりいいリアクションはなかったようです。
無理もありません。
その追悼コンサートに私は行きました、日曜日の昼過ぎだったと思います。
私はこういうキッカケは大事にするタイプです。
主催者は市の古いホールを借りていて、映画館くらいのキャパはあって。
急な開催で予算が足りないのだと有料でしたが、そこまで高いわけではなかったです。
お客も結構入っていました。
プロのコンサートと違ってセッティングをやってる段階からお客を入れていて、演者もスタッフもお客もみんな顔見知りみたいなノリでした。
そんな空気でしたから、G子以外に知り合いのいない私は最後列の席に座って始まるのを待ちました。
ぼんやり待っていた私はG子を見つけました。
ボランティア・スタッフらしく走り回っていました。
ルックスのいいG子なので、周囲の男性には人気のようです。
部活のときの倍くらい元気で、笑顔でケラケラ笑っていましたよ。
コンサートが始まり、まず主催者の挨拶がありました。
才能あるLさんの突然の死を悲しみ、みんなでしめやかに送ろう、そんな話でした。
その後は数組のフォーク・グループが二曲ずつ演奏しました。
全て大学生か社会人と思われる人たちで、さすがに上手かったです。
そこにギターも歌もできないG子は出てきませんでした。
最後に出演者全員がステージに上がってLさんの曲を合唱する場面では、G子がステージの端にいるのが見えました。
なんか、大きく手なんて振ったりして。
初めてLさんの曲を聴きましたが、いい曲でしたよ。
でも。
その日の私には、はしゃぐG子に違和感しかなかったです。
私はG子に会うことなく、会場を後にしました。
そんなことがあった数日後に、私は高校の廊下でG子とバッタリ会いました。
「こないだの追悼コンサート、行ったよ」
と私は言いました。
G子は、
「なんだ先輩来てくれたんだ、声をかけてくれればよかったのに!」
と笑っていました。
なんかこの言い方にカチンと来てしまった私は言ったのです。
「追悼というわりには楽しそうにしてたね」
ってね。
それを聞いたG子は無表情で黙ったままでした。
その数日後に、顧問の先生からG子がギター部を辞めたことを知らされました。
最初は「挨拶もなしかよ?」よりも、ホッとしました。
あのうるさいのがいなくなれば部ももっとまともになるな、そういうことです。
次に思ったのは、G子は私に痛いところを突かれて恥ずかしくなったのかな? ということです。
大好きなLさんが亡くなって「悲しい」なんてチラシを持ってきたくせに、その追悼コンサートであんな風にヘラヘラしていたのを見られてね。
デキシーランド・ジャズみたいにお祭り気分で死者を送ろうということでもなかったし。
更に数日後に、K子が教えてくれました。
G子が私のいないところで私の悪口を言っているのだそうです。
ああ、そっちか!
K子が言うには、私が追悼コンサートに行ったのはG子狙いだと、そういう悪口なんだって。
こそこそ付け回しているから気持ち悪いとか、まぁそんな内容です。
このK子は後に部長になるのですが、二年生グループと会話する場面も多く、私に彼女がいることは知っていますから、
「そんなことないですよねぇ」
って。
当たり前じゃん!
おしゃべりな女なんて私はまっぴら御免ですって!
みんなに迷惑をかけて、注意されてもどこ吹く風だったG子は、私の一言で辞めたのです。
それは良かったけど、せめて自分のことを冷静に客観視して反省してほしかった。
しかし、G子はそうではなかった。
心底ガッカリでした。
ルックスはいいのにねぇ。
ルックスがいいが故に、ああいう性格になってしまったのかもしれません。
その後のギター部は、二年生部員とK子を中心とした一年生部員で団結して、秋の文化祭のステージも盛り上がりました。
みんな真面目に練習した甲斐があり、全員が演奏して脱落なし。
部の方針として全員にステージで演奏してほしかったので、部長としても達成感がありました。
初心者なんてステージに立つだけで大変だったと思います。
私が在学中に、G子とはたまに廊下ですれ違いました。
G子はことごとく私を無視しました。
こちらとしては有り難かったです、あんなのに懐かれたら堪りませんから。
嫌味な大人になってたりして、しらんけど。
今日のお昼は冷凍しておいたチキンカレーを食べました。
丸皿じゃなくて、丼にしようと思った私。
丼にご飯を盛って、その上にレンチンしたチキンカレーをかけました。

サラサラの汁が一瞬でご飯の下に沈んでしまいましたよ(笑)。
まぁ食べて美味しかったですけど。
盛り方も少しは考えないとね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。