今60歳前後より上の方なら、『ねるとん紅鯨団』というテレビ番組はご存知だと思います。
観たことがなくても番組名は知っている、それくらいヒットした番組です。
(ネット上に一回分丸々の動画ってもう無いのですね)
フジテレビで1987年(昭和62年)から1994年(平成6年)まで放送されていて、正にバブル景気の時代からその後というタイミングでした。

当時の私は社会人として若手で、元気だけはありました。
もう時代がイケイケでした、今じゃ考えられない勢いがあってね。
『ねるとん』は土曜日の23時からの三十分枠だったから、私は飲みに行っても見逃さないようにタイマー録画してました。
また部屋に集まって飲みながら『ねるとん』を見る飲み会もありました。
面白かったのです。
この番組の前が、片岡鶴太郎がMCの『上海紅鯨団が行く』でした。
内容としては『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』に似た、視聴者参加型の番組だったと思います。
実は私はあまり観てなくて。
それをとんねるずが引き継ぎ、初期の『ねるとん』は『上海紅鯨団』と似た内容でした。
たしか半年くらい過ぎてから、有名なお見合い企画に変わったんですよね。
それまでは色々な企画をやる雑多な番組のイメージが強かったです。
お見合い企画というのは一般参加者を男女同数で集めて(全部で30人くらい)、初対面同士でトークさせたりした後に男性が気に入った女性に告白してどうなる? という内容です。
とんねるずは片方ずつ交代で現場に行き、司会進行の他に参加者の動向をモニターで観察したり、気になる参加者を呼び寄せてアドバイスしたりします。
このロケのVTRをスタジオでとんねるずとゲストが観てトークするわけです。
若者を集めて一緒に遊ばせたり会話させたりして、最後にカップルが成立するかどうかという内容が世間ではウケました。
もちろんとんねるずのトークも面白かったです。
最後は男女がそれぞれ横一列に並んで向かい合い、男性が一人ずつお目当ての女性の前に立って「お願いします!」と言います。
もし同じ女性を狙っている男性がいたら、「ちょっと待った!」と言って横に並びます。
男性が一人ずつ告白をして、お辞儀をして片手を女性に差し出します。
女性は付き合ってもいい人ならその手を取り、その気がなければお辞儀をして「ごめんなさい」と言います。
振られた男性は叫びながら後方へ去っていくし、カップル成立ならとんねるずから祝福されるのです。
実はこの番組には少しやらせがありまして。
昔参加したことのある人が話していたのですが、男性陣の中に数人の仕込みがいたのだそうです。
日本人は奥手でしょ、だから男女を同じ場所に集めて放置しておくと、男女に分かれたまま何もしない可能性が高いのです。
それじゃ番組になりません。
そこで煽り役を数人入れておいて、男性陣に呼びかけて積極的に動いたのです。
そりゃそうだよなー、テレビカメラの前で緊張もするでしょうから。
私は大学時代の友人に誘われて、彼が勝手に応募したそうですけど採用はされませんでした。
よかったよかった。
行きたきゃ一人で行けばいいのに。
番組のテーマ曲は、鉄腕ミラクルベイビーズの『TALK SHOW』です。
いやー、懐かしい!
このイントロの音を聴いただけであの頃へ戻ったような気になります。
それくらい繰り返し聴いた曲ですけど、歌詞がよく聞き取れなくてね。
(私はAPDだから……)
調べたらありましたよ。
なるほどね、こういう歌詞かー。
初代のナレーターはアニメ『YAWARA!』で有名な皆口裕子。
『YAWARA!』のほうが二年遅れです。
ということは『ねるとん』はまだ皆口の経験が浅い頃に参加したわけで、どうやらスタッフは素人くさいほうが番組に合うという理由で、オーディションで一番下手な皆口を採用したらしいです。
失礼な話だと思いますが、「『ねるとん』は皆口」というのが視聴者のイメージとして定着しているのではないでしょうか。
番組のスポンサーはミズノ一社で、そのCMで使われていた高野寛の『虹の都へ』が繰り返し流れて、これも視聴者に人気でした。
いやぁ本当に懐かしい!
CMの内容も、コカコーラのCMみたいな爽やかなカップル物だったんじゃなかったっけ。
番組テーマ曲もそうだし、凄くバブル景気の空気を持ってましたね。
『ねるとん』はいくつかの新語を作りました。
まず「ねるとん」という言葉から「ねるとんパーティ」という商売が出来ました。
番組に出たくても狭き門なので、需要だけが多い状態だったわけですが。
それでパーティ会場に希望者を集めたお見合いパーティを開催する業者が数え切れないくらいあったのです。
私が当時通っていたスナックの長男も、お店を手伝う以外はフラフラしていたのですが、仲間とねるとんパーティを企画するようになって儲けていたようです。
「ツーショット」というのは元々はカメラのフレームに二人の人物が写っている状態を言います。
これをとんねるずが、参加者が二人きりになることをツーショットと盛んに言ったことで「二人だけ」という意味になってしまったのです。
上記の「ちょっと待った!」も流行ったし、カップル成立確実な二人が不成立のときに石橋が言った「大どんでん返し!」も流行りました。
告白を断る「ごめんなさい」もこの番組以降に盛んに使われるようになった印象です。
番組ではテーマに沿った参加者を集める大会がよくありました。
好評だったのが車好き大会。
男性が自慢の車に乗ってきて、それを女性に見せて誘うわけです。
そんな大会で一回あったのが、二人に告白された女性がごめんなさいした後。
一人目が愛車で去っていき、二人目が走り去ろうとしたときのことです。
ごめんなさいした女性が突如その車の前に走り出して両手を広げて止めたのです!
なんとドラマチックな!
石橋はじめ参加者も騒然とする中でその女性が言ったのは、二人目が良かったのだけど二人目の手を取ってしまうと一人目が可哀想だから、でした。
石橋は「でもこれテレビで全国に流れるから」「今頃テレビの前でひっくり返ってるよ」とツッコミましたよ。
そこまで考えてなかったのか、目の前で落ち込むのを見たくなかったのか。
そして出たのが石橋の「大、どん・でん・返し!」。
これは週明けの職場でも話題になりました。
『ねるとん』は先行していて好評な日テレの『今夜は最高!』(MC:タモリ)を追い抜いてしまい、『今夜は』は打開策も効かず内輪揉め状態で終了したそうです。
しかし今度は日テレが『恋のから騒ぎ』(MC:明石家さんま)を開始。
この頃には『ねるとん』に飽きた視聴者が一気に流れて、『ねるとん』は半年後に終了しています。
その後スペシャルで芸能人大会が数回行われていますが、2005年以降は放送されていません。
『ねるとん』を芸能人にやらせても盛り上がりには欠けるでしょう。
本当に初対面で本当に付き合うかもしれない一般参加者だからこそ面白い番組です。
「出会いがない」と言われる時代だけに、今リニューアルして放送したらウケると思いますよ。
MCは誰がいいかなー、さらば青春の光とか?
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。