スプーキーじいさんって何考えてるの!?

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キュウリから考えたこと

昔の矢作俊彦の本で『舵をとり風上に向く者』という短編集があります。
その最初が「キューカンバ・サンドウィッチ」という短編です。
主人公の少年が自宅にいると、姉と別れてしまった元彼が車でやってきて、でも姉は不在で弟が一緒にドライブするという物語です。
ロータス・コーティナという車が元彼の車で、ちょっとしたカーチェイスシーンも用意されています。

フラレた男の寂しさや情けなさがよく出ている作品です。
タイトルは、姉が主人公のために作っておいたサンドイッチから。
この本は電子化されていないようで、うちにあった文庫本もブックオフの買い取りで持っていかれてしまったので、今は読めません。
矢作氏の作品にしては拳銃とか殺人は出てこない、何か車を一台絡めた短編集で面白いです。

 

 

 

さてこの「キューカンバーサンドイッチ(Cucumber sandwich)」という名称、今では通用しなくなっているようです。
要するに、キュウリのサンドイッチですね。
薄くスライスしたキュウリを、バターを塗った食パン(耳は落とす)で挟んだだけのものです。
市販のものだとマヨネーズを使ったものが多い印象ですね。
実際はキュウリに塩コショウして酢に漬け込んで使う
私はこれが好きで、サンドイッチを買うときにはこれが入っているものを選ぶようにしています。
シャキシャキした食感がいいのです。
何でも柔らかければいい、それで玉子サンドがもてはやされる今の時代では日陰者なのかもしれませんが。

 

調べてみたら、キューカンバーサンドイッチは元々はイギリスの王侯貴族の食べ物だったそうです。
イギリスの気候はキュウリの栽培には適していなくて、更に産業革命によって農地が減ってしまったイギリスでは野菜は輸入品となり、それでキュウリなどの新鮮な野菜は高級品となってしまったのです。
アフタヌーンティーでキューカンバーサンドイッチが出てくれば一流、そんなイメージは今でもあるそうですよ。
私はヌン活するようなタイプじゃないから知りませんけどね。

 

 

 

産業革命と言えば、イギリスが急激に近代化していった時代です。
工業化されることで生活に余裕が出てきて、それで旅行ブームがやってきます。
そのときに、名所の風景を描いた絵画が人気となります。
絵葉書と同じことですね。
長い間「芸術は大陸から買ってくるもの」だったイギリスにおいて、風景画のブームがやってきます。
ターナー(1775年~1851年)なんかが活躍した時代です。

 

1870年に普仏戦争が勃発。
兵役から逃れてモネ(1840年~1926年)やピサロ(1830年~1903年)はロンドンに渡ります。
そしてロンドンでターナーなどの風景画を研究して、それが後の印象派に繋がるのです。
一方ルノワール(1841年~1919年)やバジール(1841年~1870年)は普仏戦争で従軍して、ルノワールは赤痢で戦場を離れましたが、バジールは戦死しています。
ルノワールは大変悲しみ、「現実には悲しいことがあるが、自分の絵の中にそれはいらない」と語ったそうです。
ルノワールは自分の画風を確立するのに苦労して、亡くなる間際に「ようやく何か分かりかけてきたような気がする」と言い残しています。
ルノワールの訃報を聞いたモネは、「私だけが残ってしまった」と嘆いたそうです。

 

バジールが描いたルノワール

 

 

 

一つのきっかけから色々と考えてしまいました。
本来はキューカンバーサンドイッチを作って写真でも載せたいところですが、気分じゃないので。
考え事をするときに、最後に悲しいことに行き着いてしまうのは老人のクセですかねぇ。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。