カレー作りを趣味の一つとする私は、これまで数々の本を読んできました。
カレーの歴史については、ここで何度も紹介してきた『新しいカレーの歴史 上・下』(著:近代食文化研究会、amazon Kindle版)が一番参考になりました。
カレー作りについては、まず最初に手がかりとなったのが『おいしい! スパイスカレー便利帳』(晋遊舎、新版と旧版があるので要注意)です。
スパイスカレー(← 何度も書くけど変な名称だ)を作るにあたって必要なことが一通り書いてあり、最初に買うべき本だと思います。
さて、スパイスカレーを一通り作ってみて、次をどうしようか? という話になったとき。
色々な本を読んでみて、この「次」について書かれているものがあまりないことに気付いた私です。
スパイスの紹介とカレーのレシピは載っているけれど、オリジナルのカレーはどうやって作ればいいのか?
プロはスパイスのブレンドをどうやって作っているのか?
既存のレシピをどういじれば味がどう変わるのか?
そんな中でこれは良さそうと思ったのが、『システムカレー学』(著:水野仁輔、NHK出版)でした。
これ、ちょっとお高かったのですが、amazonのセールでKindle(電子)版が割引になっていたので買いました。
中々濃い本で、読みでがあります。
これなら……
ところが『システムカレー学』という本には、スパイスのブレンド法についてあまり書かれていなかったのです。
この本はカレーを作る工程を細かく分類し分析して、それぞれで考えうる選択肢を並べてみせて、レシピに書いてあることの意味を分からせる本なんですね。
そのために色々な方法で色々なチキンカレーを作り、その違いを読者に分からせようとしています。
だからスパイスについてはアッサリとしか書いてなくて、全体の中の一部分という感じです。
チキンカレー以外のスパイスの使用法も載っていません。
もちろん勉強になりましたが、私の目的とは少し違う本だったので読んでみてガッカリしました。
そして現時点で一番参考になっている本がありまして。
有名なエリックサウスというインドカレー屋さんの稲田俊輔が書いた『個性を極めて使いこなす スパイス完全ガイド』(著:稲田俊輔、西東社)です。
スパイスとはなんぞや? から始まって、PART2からはスパイスの使い方が書かれています。
まず基本の四つのスパイスでミックススパイスを作り、それを使ったレシピが七つ。
次にそのミックススパイスに一つスパイスを足します。
ここでは六つのパターンを紹介して、四つのレシピが掲載されています。
次は自家製ガラムマサラの作り方で、これを上記のミックススパイスと合わせて使うのです。
更にホールスパイスの種類と使い方があって、レシピがあって。
この次に各国のスパイスの使い方を詳しく書いてあり、その次がスパイス辞典。
ここで終わりか? と思ったらとんでもなくて。
上記『システムカレー学』にあったような、調理方法の違いの解説があり。
ハーブの解説が簡単にあって、最後は使うスパイスを減らす提案で終わります。
カレー作りはスパイスだけの話じゃなくて、色々な食材をどう使うかがメインなのですが。
この本では敢えてスパイスの話に絞って書いているのですね。
しかも稲田さんは「カレーを作るには十種類ちょっとのスパイスがあれば十分、もっと少なくていい」という考え方で、「30種類のスパイスを使いました!」というのではないです。
だからやたら沢山のスパイスを紹介するのではなく、基本をしっかり押さえましょうと、そういう本になっているのです。
稲田さんは『トリビュートブック 100%孤独のグルメ! それにしても腹が減った!』(著:週刊SPA! 『100%孤独のグルメ!』編集班、扶桑社)という本の中で、『海に沈む街のサリサリライス』という短編小説を書いています。
これが面白いのですよ、料理人なのに(笑)。
文才がある人が書いているから、上記の本も楽しく読めるのです。
現時点で、スパイスカレー作りに迷っている方にはオススメできる本だと思います。
もう一冊。
過去のカレーのレシピの中で書きましたが、タマネギを炒めたものにショウガ、ニンニク、トマト、スパイス、塩を加えて作ったこげ茶色のドロドロのことをグレイビーと言います。
これがインド料理のベースの一つになるわけですけど。

一人前のグレイビーはタマネギ1/2から作るが、これは長辺が5cmくらいの大きさ
グレイビーを冷凍しておけば、それを解凍してお肉などと混ぜながら炒めて水を入れて煮込めばカレーが出来上がるわけです。
休日にグレイビーを作って一食分ずつ冷凍しておいて、あとはカレーを食べたいときにグレイビーの解凍から作れば早い。
タマネギを切るところからグレイビーにするまでには、大体40分間。
スパイスカレー作りはトータルで55分くらいかかります。
でもグレイビー作りさえ先に片づけておけば、15分かそこらでカレーは作れます。
そういう非常に実践的なテクニックと、シンプルにまとめたレシピが載っている本がありました。
それが、『ひとりぶんのスパイスカレー』(著:印度カリー子、山と渓谷社)です。
普通上記の『スパイスカレー便利帳』を読んだら、「平日の夜には無理かも」と思ってしまうと思うのです。
そこを工夫でクリアする方法が書かれています。
一人暮らしで自炊していて、本格的なカレーを買ってくるのではなく自分で作りたい、でも忙しい、そんな方に向いています。
というわけで、カレーに関する本について書きました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。