スプーキーじいさんって何考えてるの!?

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こんな野球マンガもありました

マンガ『ちかいの魔球』(原作:福本和也、作画:ちばてつや、講談社、1961年~1962年)の登場により、日本のマンガ界には魔球マンガブームが訪れます。
有名な『巨人の星』にしても、『ちかいの』をベースにして作られたマンガなのです。
それにしても今でもちばてつやが現役っていうのは驚異的ですね
魔球というのは『巨人の星』の大リーグボールのようなものです。
現実には有り得ない動きをする変化球によって、ピッチャーがバッターをどんどん三振にしていくという流れになります。

 

この魔球ブームの頃に、『黒い秘密兵器』というマンガがありました。
原作:福本和也、作画:一峰大二(かずみね だいじ)、講談社、1963年~1965年
一峰大二は『スペクトルマン』などの特撮ドラマのコミカライズを多く担当した
『ちかいの』や『巨人の星』と同じように、ピッチャーである主人公が巨人軍に入団して活躍する野球マンガです。
軍なら「入隊」じゃないのかね?(笑)
主人公は椿林太郎(つばき りんたろう)、タイトルは椿が初登場時にサングラスをしていたことから。
子供の頃に兄が単行本を持っていたので、私も読んでいました。
ただ今読むと、ちょっとね。

 

このマンガの中では、魔球のことは「秘球」と呼ばれます。
原作の福本は原稿に秘球のことを詳しく書かなかったため、一峰と編集者が相談してどういう変化球なのかを決めていたとか。
その秘球が凄いというか、酷いというか……
冷静に分析するのも野暮ですがね。

 

 

 

1.黒い秘球

椿が投げたナックルボールは急速に落ち、上にいた頃のボールの影が落ちたボールにかかって黒く見えて、バッターにはその黒い影が目に焼き付いて本当のボールではなく影を打とうとしてしまうが、ボールはもっと下を通るという……

『黒い秘密兵器』(原作:福本和也、作画:一峰大二、講談社)より

一つのボールの影が同じボールに落ちるという、子供でも分かる嘘を使った秘球です。
そんなのどこをどうやっても不可能に決まっています。

 

2.まぼろしの秘球

ボールが螺旋状に飛ぶことで周囲の砂を巻き上げて、ボールがよく見えない上に巨大にも見えるという魔球です。

『黒い秘密兵器』(原作:福本和也、作画:一峰大二、講談社)より

大リーグボール2号に似ていますが、ボールを螺旋状に回転させて投げることなど不可能です。
どちらにしろ、ボールを投げただけでグラウンドから砂埃が舞い上がることはありません。
大体、ピッチャーの投げたボールがキャッチャーに届くまでなんて0.何秒でしょ?
砂埃が舞い上がる前にボールはキャッチャーミットに入ってますって。

 

3.ゼロの秘球

ボールを大きく螺旋状に飛ぶように投げることで、上側に来たボールの影が下側に来たボールに映り黒く見えて、白いボールと黒いボールが縦二列に飛んでくるように見える秘球。

『黒い秘密兵器』(原作:福本和也、作画:一峰大二、講談社)より

1.の黒い秘球と2.のまぼろしの秘球を合わせたような秘球ですが、ボールを螺旋状に回転させて投げるとは不可能であり、もしそう投げたとしてもボールを光速を超えたスピードで投げることは不可能です。
上のボールの影の中にそのボールを入れるだなんて……
それに螺旋状に飛ぶボールの上側と下側だけが見える理屈も分かりません。

 

ちなみにこのゼロの秘球は誰にも打たれることはありませんでしたが、ボールの周辺に起きる急激な風速と気圧変化のためにバッターが怪我をしてしまう危険があるため禁止されてしまいました。

4.光る秘球

ボールを高速回転させて投げることで、グラウンドの水蒸気を集めて舞わせて照明の光を乱反射させてバッターの目をくらませる魔球です。

『黒い秘密兵器』(原作:福本和也、作画:一峰大二、講談社)より

ボールが飛んでいる0.何秒の間にそんなことが出来るわけありません。
リアルにこの秘球を投げたとしても、光るのは打たれた後でしょう。

 

5.魔の秘球

またまたボールを螺旋状に飛ぶように投げることで、ボールを巨大に見せてバッターに恐怖心を与える秘球です。

『黒い秘密兵器』(原作:福本和也、作画:一峰大二、講談社)より

これはもう……、これまでに投げてきた秘球だって、バッターから見たら怖かったはずなのに……。

 

6.かすみの秘球

椿が投球動作の途中で、手首のスナップだけで投げる秘球です。
バッターは椿がいつ投げるのかが分からず、しかもバットに当てることが出来ません。

『黒い秘密兵器』(原作:福本和也、作画:一峰大二、講談社)より

これはどうなのでしょうか、実現する可能性は一番高い秘球かもしれませんが。
私は野球のルールは詳しくないですけど、ボークを取られるのでは?
それからかすみの秘球は、後の大リーグボール3号のようにバットを避けて飛ぶわけですが、作品の中でその原理は説明されていません。

 

 

 

椿は数々の秘球を投げ続けたことで、手首を故障してしまいます。
作品の中では手首に悪性腫瘍ができたとされています
椿は最後に日本シリーズで巨人を優勝に導いた後、長くバッテリーを組んできた大船頑太に置き手紙を残してどこかへ去っていき、そのままこのマンガは終了するのです。
かすみの秘球の謎は読者に委ねられたままで、こういう終わり方は夢があっていいと思います。

 

ちなみに椿は伊賀忍者の末裔という設定で、伊賀忍者の祖父に鍛えられたという設定になっています。
椿が色々な秘球を投げられたのは忍者だから、そういう理屈付けがされています。

 

 

 

このマンガが人気だったのは、数々の魔球の面白さもありますが、作品の中でスポーツマンシップや仲間やライバルの在り方を繰り返し説いたことにもあると思います。
スポーツマンは、人間はかく在るべきということや人情が何回も書かれていて、それが読者の子供たちの胸を打ったのです。

 

この作品を覚えている方ももう60代後半以上になっているでしょう。
半世紀以上前の作品ですから。
色々とツッコミ所があって、それを上に書きました。
それでも読者の心に残る魅力のある作品なのだと思います。
もしamazonのKindle Unlimitedに入会していれば無料で読めますので、是非。

 

しかし『巨人の星』の星飛雄馬もそうですが、椿もマンガとはいえとんでもない剛速球とコントロールと変化球を持っているわけで。
リアルな野球なら、それだけでも大活躍は確実です。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。