スプーキーじいさんって何考えてるの!?

貧乏・暇なし・不健康。一人暮らしのじいさんのブログです。このブログに広告とか金儲けは入っていません。

創作、小説

小説 彼女の眼鏡

正直、見つけるまで忘れていた。メガネケースに入っていた、女物のメガネだ。私が年末だからって大掃除をしていたときに、棚の奥で見つけたものだ。まだあったんだ。一気に蘇る、あの頃のこと。 随分前になる。自分が中年と呼ばれることにすっかり慣れきった…

『エンドレス時代劇』

昔々、仲間と集まってマンガを描いていたことがあります。今風のアニメ絵じゃなくて、昔の少年マンガ誌をパロったような感じで、コピー誌も作ったりしてね。一人、雑誌のマンガ賞に応募して佳作を取るくらいのがいて、彼の作品は本当に上手かったです。私は…

小説・窓外の少年

相変わらずの朝の通勤列車。私はヌメるつり革に掴まりながら(後で除菌しよ)、むっとする空気の中で文庫本を読んでいた。耳にはイヤレシーバー、流れているのはfurui riho。座席には着ぶくれして眠り込むサラリーマン、スマホを見るOL。立っている乗客同…

小説 敵に立ち向かった少年とその後

私は高校生のときに、魚屋さんでバイトをしていました。土日祝の昼から、閉店時間の19時までで、忙しかったけど時給はよかったです。 そのお店は「大将」と「奥様」の中年夫婦が経営していて、あとは私が入ったときに辞めていった先輩と、「ユナさん」とい…

小説 空港の英国人

今から十年以上前のことだ。 当時の私は都心で一人暮らしをしていた。お休みは土日祝で、大概は土曜日に家事や買い物を済ませてしまい、日曜日は自転車で出掛けていた。三十代の終わり頃にそれまで乗っていた自転車が故障してしまい、丁度その頃CS放送で見た…