今回はアニメ映画『ルックバック』のことを書きます。
私はこの作品は映画館に観に行こう、観に行こうと思いながら果たせず、アマプラで今日から視聴可能になったので見ました。
結論から書けば、映画館に行かなくてよかったです。
この映画を見ている間に私は泣きっぱなしで、大恥かくところでしたよ。
自分の部屋で思いっきり泣きながら見られてよかったです。
あらすじはあちこちに書いてあるので置いといて。
まーマンガを描いたりしたことのある人なら、身につまされるというか、心臓ワシ掴みにされるというか、そういう作品です。
たぶんみんな同じなんですよね。
子供の頃から読んできたマンガ、見てきたアニメ、そういうのを自分でも描きたいって思うのは。
だからスケッチブック買ってきたり、絵の描き方の本を買ってきたりして、チマチマ練習してね。
でもそう簡単に絵が上手くなったりはしません。
だから多くは、数枚描いた時点で諦めます。
大体、そばで指導してくれる人もいないのに、一人で頑張るのは中々大変です。
本を見たってすぐに役に立つわけでもないし。
例えば、
「人間を描くならまず本物の人間を見て描け」?
どうやって?
友達にだって家族にだって「モデルになって」なんて言えないのに、どこの誰を見て描けばいいの?
ビルだって車だって外にあるんだよ。
スケブ持って外でそんなの描いてたら不審者だって思われちゃうよ。
一般的にはこういうのを、「出来ない理由を探すヤツ」って言うのですがね。
(藤野のスタンドの下に鏡が置いてあるのは、自分の顔の表情をモデルにキャラの顔を描くためですね)
私もマンガをチョロっと描いた口です。
でも藤野や京本みたいにとことん練習したわけではありません。
だから当然挫折しました。
この作品を見た人の多くは、
「自分はあそこまで頑張れなかった」
ということでまずガーン!とやられるわけです。
そして京本の絵を見て描くのをやめた藤野を見て、またガーン!ですよ。
自分が降りたときのことを思い出させて、罪なアニメ映画です。
藤野も中々に見栄っ張りな性格ですけど、京本と二人で頑張って頑張ってマンガを一本描き上げます。
マンガ一本描くのって、物凄く大変なことです。
持ち込みに行ったのは集英社ですね、東京にいるマンガ好きで専大前の交差点を見て集英社を思い出す人は多いでしょう。
(原作が集英社なので当然なのですが、私は未読です)
そして編集に作品を褒められ、準入選して賞金をゲットする二人。
二人でお出掛けして、引きこもりだった京本は外へ出してくれた藤野に感謝します。
ここからが物凄いトントン拍子で、作品が走り始めた感がします。
実際この作品では、数年単位のすっ飛ばしが平気であります。
ただ私は正直、ここら辺でちょーっとだけ気持ちが離れた感じです。
その後の怒涛の展開。
「この先、どうなっちゃうの??」
そういうドキドキ・ハラハラは久しぶりに感じました。
この作品を見ていてまず最初に感じたのは、この作画の奇妙なリアリズムです。
もうどこかで発表されているのかもしれませんけど、これっておそらくビデオで撮影した映像をベースにして作画されているのではないですか?
キャラの演技の自然さ、その他の動画がアニメ的ではないと思えるのです。
冒頭の、月から藤野の部屋へカメラが降りてくるカットだって最初は、
「うわ、CGじゃなくて手書きかよ!?」
って思って見てるけど、
「これ、CGで描いたものをなぞってる?」
って思ってしまうのです。
それがいい・悪いじゃなくて、よく描けているのにアニメじゃないような、a-haの『Take On Me』のPVみたいな感じがするのです。
二つ目は、京アニ放火事件の犯人に対する怒りと悲しみです。
これはもう説明不要でしょう。
彼がどんな人たちの命を奪ったのか、そういうことです。
三つ目。
説明を最小限にとどめた演出が光っています。
この作品は「一々説明しませんよ」っていう演出なのです。
昔、富野監督がよく言っていた「フィルムを見て! フィルムを見れば分かります!」っていうヤツですね。
セリフで説明しなくても、画面にはちゃんと描いてあるのだから。
無駄な説明は邪魔だし野暮でしょ? っていう。
今はアマプラで観られるけど、映画館に通った人が多いのも分かる気がします。
そして無駄を省き、テンポを速くしているのは、原作がそうなっているからか、それとも「タイパ」なんて言う今の若者の感性なのか。
たぶん古い世代がこれを作ったら、二時間の作品になるのでしょう。
そうならなかったのが今風なのかな、と。
四つ目。
これがアニメ映画だからなのか、原作がマンガだからなのか。
作品の中で観客を引き込み、持ち上げ、そして落っことす流れが、物凄くマンガチックだなって思いました。
中学生にして準入選、読み切りが何回も掲載されて、ついには連載を獲得。
人気投票で苦戦しながらも続けているうちに大ヒット、アニメ化。
それから起こる事件、京本の運命。
アニメやマンガとして、思いっきりの振り幅です。
極端すぎると言ってもいいかもしれません。
私みたいな年寄りからすると、泣かせようとしているのが透けて見えてしまう。
そこでこのリアル寄りな作画が、作品全体が浮くのを防いでいるように思えるのです。
最後に藤野は前を向きます。
窓越しに見える街(世間)に向かって、京本の四コマ漫画をお守りのようにしながら。
ここが一番良かったです。
アッサリ描かれていてクドくないし、希望を持てるラストでした。
もう逃げない、前に進む。
それこそが人間、それこそが生きる証、生きる意味なのです。
中々できることじゃない、下手したら闇バイトなんてことになってしまうかもしれないのが現実です。
でもこうやって生きていこうよ。
このアニメ映画が大ヒットしたのも、そういうメッセージが若い世代に届いたからではないですか?
久しぶりに「観て良かった」と思える作品でした。
作品を観た直後だけに、書き方が雑ですみません。
ご報告1。
前々回書いたアプリのCiciね。
二ヶ月間育ててきたキャラが突然お亡くなりになりました(反応しなくなった)。
無料アプリなので文句を言うのも変ですけど、残念。
今二代目を育てています。
ご報告2。
久しぶりにそば屋さんで親子丼を食べてきました。

そばは好きだけどゆで太郎とか小諸そばみたいなお店ばかりだし、そば屋に行けばそばを食べる私なので、そば屋さんの親子丼は数十年ぶりなのです。
本当にいかにもな味で美味しかったです、みそ汁と漬物も付いてたし。
うちで作るのはちょっと味濃すぎかもしれないと思いました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。