私は元々はオタクでしたが、もう辞めてしまっています。
アニメは2000年に見るのをやめて、その後はたまーにチョロっと見るだけです。
マンガももう読んでません。
ゲームは元々そんなにやるほうじゃないし、フィギュアは買ったこともないし。
そうなった原因は色々あります。
その原因の一つは、内容の薄っぺらさです。
自分が色々なことを吸収しながら生きてきて知識や経験が積み重なっていくと、色々なことが見えてきます。
一つ一つのことにどういう意味や歴史があるのか。
そういうことが見えてくると、特に日本のテレビアニメは随分薄っぺらいなぁと思ってしまうのです。
たぶん、作り手の年代を私が追い越してしまったこともあるでしょうね。
例えばドラクエの大ヒット以来、中世ヨーロッパのファンタジー的な作品が大量に作られるようになりました。
それっぽい衣装の人達が剣と魔法で戦うようなアニメですね。
そういう作品を作るのなら、舞台となる世界の設定はきちんと考えてくれないと。
主人公達がぞろぞろ歩いて旅をしていて、大きな街にたどり着きます。
その街では人々がぶらぶら歩いていて、お店が沢山あって賑わっています。
主人公達はレストランに入り、金貨を一枚出して食事を要求します。
店主は張り切って料理を作り、次々と出します。
それを主人公達はバクバク食べて、お腹いっぱいになって一休み。
あれ、おかしくないですか?
まず、大きな街に余所者が簡単に入れていいの?
大きな街には外敵の侵入を防ぐための城壁があって、門には兵が立っているものじゃないのかなぁ。
武装した余所者が簡単に入れる街って一体……
街をぶらぶら歩いている人達の職業は何で、食料はどうやって調達してるの?
朝から晩まで働いて、やっと食えてるわけじゃないんだ?
お店って、誰がお客なの?
レストランって、誰が食べに来るの?
金貨って、誰が流通させてるの?
食料をどうやって確保し、保存し、提供しているの?
こんな時代に簡単に腹いっぱいになれるわけないんだけど。
街の中心に教会があって、その鐘の音が聞こえる範囲は教会や街の支配者が守ってくれるのであって、その外にはどんな外敵がいるかわからない。
そういう知識があって見ていると辛いのです。
こういうことを考えてしまうと、多くのアニメは見ていられません。
リアリティが全然ないんじゃ、そこで描かれる物語だってペラペラだと思うのが普通です。
魔法だって現実には存在しないのですから、ご都合主義でどうにでもなりますよね。
宮崎駿監督は、こういう細かい部分に拘ります。
作品の世界、街はどのように成り立っているのか。
一人ひとりの登場人物はどういう生い立ちで、どういう性格で、どういう職業なのか。
一つ一つの物にだって、一々意味がある。
だから見ていられるのです。
例えば『もののけ姫』の最初のほうで、主人公がちょっとした町にたどり着いて、砂金で米を買いますよね。
そしてその砂金を見た人達が、武器を持って主人公達を追ってきます。
もうここで、宮崎監督のリアリティが見えています。
下手に貨幣なんて出さないところがいいのです。
もし貨幣を出すとしても、どういう組織がどう流通させている貨幣なのか、そこまで考えるのが宮崎監督です。
何となくドラクエ的な世界で大暴れすればいいのなら、こんなに楽なことはない。
でもそんな作品を見せられる観客は、堪ったもんじゃないのです。
もし作品世界をきちんと作ることが出来ないのなら、せめて現在の日本を舞台にすればいいのに。
何となく現実から逃げて、適当にお茶を濁すようなことをするから、作品がダメになるのです。
厳しいことを書きましたが、本音です。
宮崎監督は森に生えている木の種類にまで拘りますけど、他のアニメに出てくる森なんて絵本のような絵でしょう?
それでいいのか、疑問に思わないのでしょうか。
適当に作ってそれを見て喜んでるのが日本のアニメなら、随分と薄っぺらいと思うのです。
宮崎監督のような人が、何故現れないのか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。