スプーキーじいさんって何考えてるの!?

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無人立ち食いそば店へ行った話

ネットニュースでご存知の方も多いと思われますが、JR上野駅のホームに無人の立ち食いそば店がオープンしました。
今回はそのお話を書きます。

 

 

 

JR上野駅は大きなターミナル駅で、ホームも沢山あります。
このお店「セルフ駅そば」が出来たのは、11・12番線のホームです。
御徒町駅寄りの、上階に上る階段の下で、以前ベックスコーヒーショップがあった場所です。

日本らしいスペースの有効活用ですよね

このホームか隣のホームを使う人じゃないと、お店の存在には気付かないし使わないでしょう。
ちなみに隣の9・10番線のホームの同位置には、大江戸そばという従来型の立ち食いそば店があります。
御徒町駅寄りにこの二つのホーム間を移動できる通路があります)

大江戸そばのかけそば(¥310)

 

お店の入り口は日暮里駅側で、開放されています。
店内は左右にカウンターがあり、正面にそばマシーンが一台だけ設置されています。
そしてそばマシーンの左側にはゴミ捨て場、その奥には短いカウンターがあります。
キャパは6、7名ってところでしょうか、左側に中が見えない小部屋があります。

 

 

 

実は私、このお店がオープンしたとき(6月20日)にすぐに行ってみようと思っていたのです。
ところがいつ見ても行列が出来ていて、あと写真を撮っている人もいて、これはダメだなと。
そばマシーンが一食分調理するのにかかる時間が最低一分半。
オーダーはタッチパネルで、かかる時間はおそらく一分間。
調理後は30秒程待たされます。
ということは一人に約三分間はかかるわけで、オーダーで悩むお客がいたりしたら更に長くかかります。
もし5人が行列した後ろに並んだら、約15分間は待たないといけないわけで。
有り得ないでしょ。

 

セルフ駅そばは、JR 東日本クロスステーション フーズカンパニーという会社が飲食業界の人手不足をカバーするために自動調理機を開発して、その実証実験としてオープンしました。
おそらく将来は、こういうファストフードのお店からは店員さんがいなくなっていくと思われます。
自動調理器を設置してセルフサービスにしてしまえば、あとは材料をセットし掃除とゴミ出しをする人がいればお店は回ります。
(当然キャッシュレス化されるでしょう)
私も前から、牛丼だのカレーだののお店は無人化していくだろうと思ってました。
むしろそうなれば、国道沿いのお店なんかは人を雇わなくても24時間営業が可能となるから便利です。

 

 

 

一週間後。
セルフ駅そばを覗いてみたら、お客の行列は減ってました。
そばマシーンの前に一人いただけで、これなら待ち時間は少ないと思って並びました。

これはそばマシーンの左半分です。
前のお客さんがオーダーして待っているところですね。
上の大きなモニターに色々と説明が表示されて、オーダーは下のタッチパネルでします。
精算は交通系ICカードのみで、右の小さいモニターにタッチしますが、こちらでもタッチ操作が必要なのでご注意を。

 

メニューは4つ。

たぬきつねそば    ¥550

紅しょうが天そば   ¥680

ちくわの磯辺天そば  ¥630

柚子胡椒香る豚肉そば ¥730

立ち食いそば店としては高めです。
私はたぬきつねそばにしました。

 

 

料理が出てくるのは、右側の小窓です。
オーダーするとこの中が明るくなって、調理(温め)が終わると扉は自動で開きます。

 

 

料理の出てくる小窓の下には、お箸とレンゲが入っている小窓があります。
調理している間にここから出しておきます。
(私は間違えてレンゲを二つ取ってしまいました)

 

 

この画面が表示されてから、料理を取り出すことができるようになります。

 

 

中にはコンビニのチルド商品のようなものがありました。
かなり熱くなっているので、容器のフチを持ちましょう。
(もし店内が空いていたなら、先に席を確保して荷物は置いておいたほうがいいかもしれません)

 

 

 

 

ついにご対面です。
このフィルムのノリが強くて、開けるとき怖かったです。

 

 

ジャジャーン。
これがセルフ駅そばの、たぬきつねそばです。

 

 

なんだか随分と焦らされての対面なので、期待値は上がります。
実際に食べてみてどうだったのかというと……

とんでもなく熱かったです。

もう熱くて熱くて、味なんてろくに分かりませんでした。
蒸し暑い季節だけに、そばを口にするたびに汗が吹き出してきます。
開放された店舗は涼しいわけでもなく、辛かったぁ。
そばは柔らかく、妙に弾力があり、ちょっとだけコシがあって、いいそばではなかったです。
昔ながらの立ち食いそばとは違う、カップ麺のそばとも違う、変なそばでした。
お揚げは薄かったけど、食感はまずまずでした。
ほぼ溶けていた天かすと、ちょびっとのフリーズドライのネギは、カップ麺レベル。
つゆは味が濃くて甘味がありましたけど、じっくり味わうには熱すぎます。

 

レンゲがあったのは、この容器は口をつけて飲むには適さない形をしているからでしょう。
その容器は断熱性がないので、持っている手がすぐに熱くなってしまい、結局カウンターに置いたまま食べることに。
日本人なのだから器は持って食事したいのに、みっともない食べ方をさせられて本気で嫌でした。
馬みたい……
そしてこのお店には水も七味も紙ナプキンもなく、あるのは除菌ティッシュのみ。
水は自販機で買えとのことで、料理が激熱なのはそういうことだったのです。

 

結局、そばとお揚げを食べてつゆを少し飲んで、残りは捨ててしまいました。
こんな料理でセルフサービスで¥550とは……
一週間でお客が激減した理由がよく分かりましたよ。
これなら日清どん兵衛のほうが安くてずーっと美味しいです。
(現状、平日の18時台にお客は一人いるかいないか程度です)

 

 

 

実証実験なので、このお店がポンコツなのはしょうがないことです。
我々お客はお金を払って、実験に協力してあげただけなのですから。
今後はよく改良されて、お客が納得できるお店ができていくことでしょう。
その頃には、最初はこんなにポンコツだったんだぞーって昔話ができますよ。

 

私は個人的には、このお店は映画『2001年宇宙の旅』に出てくるディスカバリー号の船内みたいで、こういうお店がどんどん増えたらいいと思っています。
(君も料理を取ろうとして熱がっているボーマン船長になれる!(笑))
もちろんモロモロ改良されることを前提としての話です。
私はこのお店の、SFの世界に入り込んだようなアトラクション感と、店員さんと接しない孤独で自由な感じが好きなのです。
ちょっと狭っ苦しくて、全然高級感はなくて、だからリラックスできて。
たぶん立ち食いそば店が好きな人ってそういう傾向があるんじゃないかなぁ。
いずれ当たり前になるであろう、無人飲食店の先駆けを体験できて面白かったです。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。