私には姉がいましたから、子供の頃から少女マンガは読んでました。
だから少女マンガに対する免疫はあって、でも同世代の男性だとまったく受け付けないという人は多かったです。
まー独特ですもんね。
面白い文化を吸収する機会を与えてくれた姉には感謝しています。
姉は大学生の頃に集英社のマンガ月刊誌『ぶ～け』を読んでいて、1970年代の終わり頃から1980年代の半ばくらいまで買ってました。
当時をご存知の方なら分かると思いますが、小さくて分厚い判型で、後ろに既出作品がまとめて掲載されていた頃のが私が読んでいたぶ～けです。
誌名はカワイイのに中身は結構上の年齢向けでした、高校生とか大学生とか。
あれを小学生が読んでも面白くはないと思います。
そんな中で目立っていたのが、内田善美のマンガです。
他のマンガ家は普通のややシンプルな絵柄でしたが、内田善美のは全然違っていました。
（以前ここで一回引用したことがありますね）
こんな感じです。
見てひっくり返りましたよ。
この一枚だけでも飾っておく価値があります。
もう模写しようとする気さえ起きないレベルですね。
内田善美は美大に在学中に一条ゆかりのアシスタント経験があり、新人賞を取った後にプロデビューをしています。
最初は「りぼん」専属でしたがその後フリーになり、ぶ～けは創刊時から参加しています。
美大出身でラファエル前派がお好きというのは、ファンの間では有名な話です。
（雑誌『芸術新潮』のラファエル前派特集号にも載ったことがある）
確かな画力があり、博学で知識が豊富なので物語の舞台がとてもしっかりしていて説得力があり、しかもセンスもある。
ぶ～けに内田善美の作品が掲載されていると、なんだか得した気分でした。
内田善美の時代にマンガを好きで、本当に良かったです。
ただこの絵柄なので寡作で、アシスタントを使っていたとしても読み切り作品が多く、初めての連載は四回だけの短期集中でした。
当時はそれでも「連載なんてよくやったな！」と思ったものです。
そんな内田善美がぶ～けで長期連載することになって、それがまた凄い作品だったので私もかなり驚きました。
その作品が『星の時計のLiddell』です。
なんと単行本三冊分（しかもハードカバー）、押しも押されぬ長編マンガでした。
絵的に凄いのはもちろんですけど、『星の時計～』は情報量も凄くて、しかも物語の舞台となったシカゴのことを妙に詳しくご存知だったりして。
その物語がまた不思議で魅力的で、何度読んでも楽しめて。
内田善美って一体どういう人間なんだろう？ と思いましたよ。
ここに私がどう書いても、このマンガの凄さは伝わらないと思います。
ただ一つ言えるのは、日本のマンガという文化が大きく育って大樹となり、多くの枝が四方に伸びていって葉が付くように複雑に分かれていった中で、内田善美は一つの頂点に達してしまったマンガ家だってことです。
唯一無二、そういう存在です。
内田善美の作品を読もうとしたとき、まず電子書籍はありません。
単行本は当時のものしかなく、とんでもない高値が付いています。
（今だと『星の時計～』の古書三巻セットで三万円弱くらいか？）
そんなに凄いマンガなら、もっと売ればいいのに……
こういう状況になってしまっているのは、内田善美がマンガ家を辞めてしまったからです。
詳しい事情は分かりませんけど、『星の時計～』や『草迷宮・草空間』（← 最終作）の単行本を出した後に編集部が内田善美と連絡を取れなくなってしまい、そのせいで重版もできなきゃ全集を出すこともできないらしいです。
（マンガ家の作品をなんらかの形で出版するには当然許可がいる）
マンガ家仲間の松苗あけみによると、内田善美はご実家で元気にされているそうですが、マンガ家として行き着くところまで行ってしまった内田善美はもうマンガを描けなくなったのかもしれないという意味の発言もされています。
ついこないだまで見ることが出来た、マンガ図書館Ｚという無料でマンガを読めるサイトに『星の時計～』が置いてあったそうですけど、残念ながら既にサイトごと閉鎖されてしまいました。
こんな素晴らしい作品が大金を積まないと読めない現状は間違っていると思います。
日本のマンガ界の宝ですよ。
ぜひとも通常の価格で手に入れることができるようにしていただきたいのですが、何か特殊な事情があるのかもしれません。
それを知らない人間がとやかく言うのもあれなので、この辺にしておきます。
味の素の冷凍餃子ですが、すっかり我が家の定番となりました。
昨夜は羽が繋がった状態を再現できるのかをやってみました。
（フライパンにお皿を入れてひっくり返すヤツね）
簡単でした、これなら誰でもできます。
すげーな、マンガみたい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
