スプーキーじいさんって何考えてるの!?

貧乏・暇なし・不健康。一人暮らしのじいさんのブログです。このブログに広告とか金儲けは入っていません。

後で考えなくても怖かった話

昔、バブル景気(1986~1991)というのがありました。
あの頃私は若くて、仕事を頑張りすぎて体を壊し、最初の会社を辞めることになってしまいました。
その後転職しましたけど、体調不良のため欠勤が多くてすぐ辞めさせられることに。
そしてバブルは崩壊して、日本は不景気になってしまったのです。
その頃の話を書きます。

 

 

 

私でも出来る仕事というと事務仕事くらいです。
でも、就職先を探して電話しても、応募が殺到しているからと門前払いになることの繰り返しでした。
求人情報の数も激減してしまい、情報誌も薄くなってましたね。
蓄えは乏しく、すぐに働き始めないとどうしようもありません。

 

ある日、新聞で一つの小さい求人情報を見付けた私。
事務員募集」とのことで、すぐに電話してみたら、明日から来てくれと即決!
嬉しくて嬉しくて、心配していた親にすぐ電話で報告しました。
やっと働ける、これで食っていける!

 

 

 

当日その会社に行ってみたら、普通じゃありませんでした。
大きなマンションの一室に事務机などを入れた感じで、それはまぁ小さな会社ならよくあることです。
玄関脇の部屋は応接室としてセッティングされていて、そこで待たされました。
新人は私と中年の女性の二人で、待ちながら室内を見ていたら違和感がありました。
(具体的なことは書きません、怖いので)

 

さて、会社の方が入ってきたので明るく挨拶したまではよかったのですが……
その会社にいたのは、社長と呼ばれる50代の男性と、その部下の20代の男性の二人でした。
二人を一目見て、すぐにカタギじゃないと分かりましたよ。
そう、その会社はヤクザの幹部が興した、違法な金貸しの会社だったのです。

 

 

 

本当に具体的なことは書けませんけど、新人は細々とした作業を任されて黙々と働く感じでした。
若い社員は目つきが鋭くて怖かったですが、社長は人当たりがよかったです。
我々に作業をさせながら社長が語ってくれたのは、違法な金貸しの仕組みです。
(こうしてどん底に叩き落されてしまうのか……)
聞いていてゾーっとしましたね。

 

怖いしヤクザと関わりたくないけど、いきなり辞めるとも言えなかった私。
何より、働かなければ収入もありません。
どうしよう、どうしようで一日目は終わっていきました。
定時になり、女性は挨拶をして帰っていきました。
私も帰ろうとすると、社長に声をかけられました。

今夜、組で会議があるんだけど、一緒に出てくれる?

(はぁ? この人何言ってんだーーー!?)

でも断る勇気もなく、三人で車に乗り、都内某所の組事務所に行ったのです。

 

 

 

ねぇみなさん、ヤクザの事務所って入ったことあります?
映画とかではよく見ますけど。
私が連れて行かれたのは、豪華で綺麗に整った感じの事務所でした。
(おそらく組長の自宅と一緒になっていたと思う)
会議室に入り、入り口そばの席に私、隣に社長、若い社員はどこかへ去りました。
私のような者は一番下座でないとダメだ、それだけは考えてました。

 

すると次々と幹部が入ってきました。
もう「いかにも」って感じの人ばかりで、一々立って頭を下げる私。
何かミスったら、生きて帰れないかもしれない。
下を向いて何事もないように祈るだけの私でした。

 

 

 

そして最後に組長が入ってきました。
全員が起立してバッと頭を下げました、当然私も。
組長が一番奥の席に座ると、幹部達も着席しました。
私は全員が座るまで待って、最後に座りました。

「お前が先に座ってんじゃねーよ!!」

そんなこと言われたらおしまいです。

 

組長はすぐに私に気付き、

おい、そいつ誰だ?

と指さして聞きました。
ビクビクッ!!
社長はすぐに、

今日うちに入った◯◯です

と返しました。
起立して頭を下げる私の、服の中は汗でびっしょりです。

(「入った」って、どういうことだよ!?)

でも口を挟める状況ではありません。

「いいから座れ」

組長に言われて大人しく着席する私。

 

 

 

会議が始まりました。
でも私は怖くて怖くて、何も聞こえてはいませんでした。
ただ下を見て

「一秒でも早くここを出たい!」

それだけ思ってました。
幹部が代わる代わる何かを報告していたようですけど、その内容が分かるわけもなく。

 

会議は結構長く続き、私も段々と周囲を見る余裕が出てきました。
室内は「大金持ちの和室」って感じで、大きな壺とかがありました。
「へー」なんて思いながらキョロキョロしていたら……

 

おい! お前!

ビクビクッ!!

 

組長です、心臓が止まるかと!
すると、

お前、目付き悪いな!

しまった……

 

私は生まれつき目付きが悪く、人の顔を見ていてトラブルになることがよくあったのです。
だから親からは人の顔を見ないようにしろと言われて、そうしてきたのですが。
そのときは無意識に組長の顔を見てしまっていたのです。

ヤバい、もうダメか!?

すぐに立ち上がって頭を下げて、「すみません!」と言いました。
組長はムッとしてましたが、すぐに社長がかばってくれて、事なきを得たのです。
もう汗ダックダク!

 

 

 

会議が終わり、私は開放されて無事に帰宅しましたが、恐怖心で頭の中は一杯でした。
どう考えても無理です。
よし、明日は絶対に辞めさせてもらおう、それだけ決めて寝たのです。
もしかしたら殴られるかもしれないな、そんなことを考えながら……

 

翌日定時より少し早く出勤して、社長に辞めさせてほしいとお願いしました。
すると社長、怒るでも怒鳴るでもなく、冷静に話してくれました。
君にはいずれこの会社を任せたいとか、君は向いているとか言って、更に自分の長財布の中を見せて、

これくらいすぐ稼げるぞ!

などと言ってました。
(百万円くらい入っていた)
どうやら私がソフト開発をしていたことから、利用価値があると思っていたようです。
でもここで断らなければダメだと、必死になって抵抗しましたよ。

 

結局社長は私の意思を受け入れてくれて、一日分の給料に色を付けて支払ってくれました。

「ここで会ったのも何かの縁だから、何かあったら会いに来いよ!」

と、優しく送り出してくれたのです。

助かった……

この人が社長でよかったと思いました。
もちろん、どこでどんな悪いことをしているか分かったものではありませんけど。
そしてこの社長と会うことは、二度とありませんでした。

 

すぐに親に電話で報告しました。
事情を話すと、

そんなとこ辞めて正解だよ!

と言ってくれました。
そしてその後は無事に(まともな)仕事が見つかって、働き始めた私でした。

 

 

 

このときの経験談は、親のところに遊びに行ったときに詳しく話しました。
困ったことが一つだけあって、それは私の目付きの悪さを、

ヤクザの親分のお墨付き

と家族が言うようになってしまったことです。
もういいよ……(笑)

 

 


 

 

最近職場の近所で、カレーが美味しいリーズナブルなお店を見つけました。

しばらく通おうと思ってます。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。