こないだテレビで見た『映像の世紀 バタフライエフェクト』(NHK)、とても興味深かったです。
『映像の世紀』はもうかなり前から続いているシリーズで、過去の貴重な映像を時代順だったり、テーマに沿ってだったりでまとめて見せてくれる番組です。
歴史に興味がない人でも、映像と分かりやすい解説で入りやすくなっているのです。
その「こないだ」やっていたのは、『オリンピック 聖火と戦火』というテーマの回でした。
パリオリンピックに合わせたのでしょう、タイムリーなテーマだと思います。
この回の中心になっていたのは、「ミュンヘンオリンピック事件(1972年)」です。
「黒い九月」と名乗るテロ組織が、イスラエルチームの選手やコーチを人質にして立てこもった事件です。
私は小学校四年生か五年生でした、詳しいことを当時は知りませんでしたが、大人たちが騒いでいたことはオリンピックに関連して覚えています。
↑ wikiを読むと、番組より細かいところまで知ることができます。
マニアックな話をすると、GSG-9はこの事件をキッカケに創設されたのです。
「ミュンヘンオリンピック事件」は昔のことですけど、スピルバーグ監督が映画『ミュンヘン』にしているので、若い方でもご存知かもしれません。
『映像の世紀』ではテロリストがイスラエル人の人質を殺害するところまでしか紹介されませんでした。
でもこの事件はそれで終わりではなかったのです。
映画『ミュンヘン』では「その後」までが描かれています。
その基礎となったのが、『標的(ターゲット)は11人』という本なのです。
ジョージ・ジョナス著、新潮文庫
イスラエルがテロ組織「黒い九月」を簡単に許したり諦めたりするはずがありません。
報復の軍事行動もありましたが、その裏では「黒い九月」関係者の暗殺計画も動いていたのです。
『標的は11人』は、その暗殺計画を実行したモサドのメンバーの一人が書いています。
スパイ映画などで見る暗殺の、実際の現場のことが克明に書かれていて、非常に興味深い本です。
しかしその後、暗殺計画のメンバーが返り討ちにあって亡くなったりもしていて、血で血を洗う争いになってしまいました。
この本の著者も、訳あってアメリカに亡命。
平和の祭典、オリンピックの裏でまさかこんなことが……
驚かされることがこの本には沢山載っているのです。
『映像の世紀』は、見るといつも悲しい気持ちにさせられる番組です。
加古隆の素晴らしい音楽と相まって、人類の愚かさを思い知らされてしまいます。
歴史ってそういうものですけどね。
元気がないときに、あまり深入りしないようにご注意ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。