スプーキーじいさんって何考えてるの!?

貧乏・暇なし・不健康。一人暮らしのじいさんのブログです。このブログに広告とか金儲けは入っていません。

バイトと私 3

私は大学生の頃に、塾の講師のバイトをやったことがあります。
塾と言っても、老夫婦が自宅を改装してやっていた、近所の小学生に勉強を教える塾で、進学塾ではありません。
その塾で算数を教えていた講師の人が一ヶ月間休むことになり、代打を探していたところに私が応募したのです。
工学部電子工学科の現役大学生でしたから、小学校の算数なら楽勝でした。

 

過去記事に登場する、関数電卓付きポケコンを使っていたのもこの頃のことです。

友達からは「電卓のオバケ」と言われた、超便利グッズでした。
今じゃこんなのサッパリですよ。
(それにしてもいいデザインです)

 

 

 

生徒は小六が八人でした。
オーナーの老夫婦に最初に注意されたのは授業のことじゃなくて、

子供たちと仲良くなりすぎるな

ということでした。
以前この塾で、子供たちと仲良くなりすぎた講師がいて、休日に遠足するくらいの仲良しになったはいいのですが。
子供たちが慣れすぎて、授業にならなくなってしまったのだそうです。
進学塾じゃないから、その程度の緊張感なんですね。

 

子供たちは、代打の私に最初は冷たかったです。
女子なんてわざと悪口を書いたメモを床に落として帰ったりしてね。
それに動じるほどこちらは子供じゃなかったですけど。
でも普通に授業を続けているうちに、子供たちは懐いてくれました。
私はオーナーからの注意があったので、深入りしないように注意してました。
帰る私についてきてしまう子もいましたが、上手くまいて。
そんな感じで、バイトは平穏無事に進んでいきました。
私は人に教えるのが初めてでしたけど、その面白さに気付いたりして得るものもありました。

 

 

 

そしてバイトの最終日。
ちょうどその日の晩に、嫁いでいた姉が久しぶりに帰ってくることになって。
姉を囲んで夕食だっていうので、私は楽しみにしていました。
おそらく母はご馳走を並べてくれることでしょう。

 

最後の授業が終わり、教室の掃除をして、机と椅子をきちんと並べて、戸締まりをして電気を消して。
教室があった二階からトントントンと降りていくと、オーナー夫婦が待っていました。
最後なので挨拶しようとすると……

「スプーキー先生、晩ご飯を食べていきませんか?」

なんと、夕食に招かれてしまったのです。

 

二階の教室での授業の様子は、オーナー夫婦にも伝わっていました。
私の授業の様子もチェックしていて、どうやら気に入っていただけたようでした。
満面の笑みでこちらを見ているオーナー夫婦の向こうの食卓には、いくつもの料理や缶ビールなどが並んでいるが見えました。
美味しそうだなぁ!
でもでも、今夜は姉が来ます。
私はオーナー夫婦の誘いを断って、さっさと帰ってしまったのです。

 

 

 

この失敗のことを、今でも後悔しています。
姉なんて何度でも会えます。
でもオーナー夫婦との夕食は、この時だけです。
たかがバイトに、あんなに料理を並べてくれて、そのお気持ちを無にした後悔です。
唐揚げとかあったけど、揚げ物なんてオーナー夫婦は普段食べていないでしょう。
あれだけ用意した料理、お二人では食べきれなかったでしょう。
バイトの大学生と色々会話もしたかっただろうに……
もし私がオーナー夫婦の側だったら、どれだけガッカリしたでしょうか。

 

気付いたときにはいつも遅すぎる。
これが、私がバイトで学んだことの一つです。
人は、こういう後悔をいくつも背負いながら生きていくのですね。

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。